-
村人A
〈不屈の護神〉の名にかけて!
-
村人B
やるぞ! 俺たちの村を守るんだ!
-
たちまち数多の刃が閃き、怪物の繰り出す無数の魔手を打ち砕いた。
ゾイスは、カッと胃の腑が燃えるのを感じた。かつてない感覚だった。血沸き肉躍るという言葉が、文字通りになったようだった。 -
ゾイス
(守らなければ)
-
そんな思いが、泡のように湧いては弾けた。彼らを守り、戦わなければ。決然たる意志の沸騰が、若き心をたぎらせる。
思いと願いの赴くままに、ゾイスは高らかなる叫びを放った。 -
ゾイス
ロード――〈不屈の護神〉!
-
おお、と村人たちが目をむいた。ゾイスの内からあふれ出す膨大な魔力――トーテム〈不屈の護神〉がゾイスを認め、その絶大なる力を貸し与えた証だった。
-
ゾイス
〝猛牛着火〟ァ!
-
ずん、と踏み込み、剣で薙ぐ。魔人の首が、腕が、尾が、一閃のもとに斬り砕かれて宙を舞う。村人たちが奮い立ち、ゾイスに続けと雄叫びを上げる。
-
プグナ
ぷ――
-
怪物の猛攻をさばきながら、プグナは静かに微笑んだ。
そして、視線を戻し、緩く呼吸を整える。 -
プグナ
ロード――〈ふにゃふわ超神獣〉!
-
無数の首が、ぎょっとなって身を退くが、もう遅い。
プグナは構えた。ただの構えではなかった。極端に柔らかな肉体の隅々に、驚くほどの勁が宿り、巡り、みなぎっていく。ふにゃふわ極まる肉体に、殊絶なる武の神髄が合わさって初めてあらわれうる、人(?)の身の到達点を遥かに超えた力であった。 -
プグナ
ぷぅぅぅぅう――、ぷうっ!
-
そのすべてが解き放たれる。
プグナは生ける稲妻そのものと化し、後ずさる怪物の中心点へと突き刺さって、魔性の肉体を乱離骨灰に撃砕した。