コロカ事業
広島県竹原市 「藤井酒造」を訪ねる
- 店舗レポート
厳しい寒さの中で
雨の降る非常に寒い朝。外気温4度に対して、蔵の中でも8度と非常に寒い中、朝5時より仕込みは始まります。
杜氏は蔵元の弟さんとなる双子のお二人、雅夫さん、達夫さんが担当をされています。この日の作業は、麹作りと醪造りの二段階目「仲添え」の工程です。
昨日のうちに洗米を完了している米は、巨大な蒸器で乾燥蒸気により蒸し上げられます。
もうもうと湯気が立ち上る蒸し上げられた米は、一見パサパサなのですが、内部はきっちりと蒸し上げられています。「外硬内軟」と呼ばれるこの状態こそが、酒造りには最適な状態なのだそうです。
「人が積極的に関与できるのもこの工程まで、一番の真剣勝負どころです。」と蔵元。この後の工程は関与できるものの、糖化・発酵など自然の力に頼ることになるため、そう言い切られておりました。
蒸し上げられた米は、手作業で運ばれ、広げて冷ます工程へと移ります。8度という蔵の空気により冷却されるとはいえ、蒸し立ての熱い米を手で返していく大変な作業を経て、一部は麹作りのために麹室へ引き込まれます。
麹室の温度は電熱器により一定温度に保たれています。作業をすると途端に汗が出るほどの温度で、作業される方は上半身裸です。
引き込まれた蒸し米を均等に広げ、丁寧に種麹を蒔きます。裏表きっちりと種麹が蒔かれた後はまとめて、菌の繁殖を待ちます。
この作業は約2日間、定期的に温度管理と菌の繁殖状況を確認する作業が昼夜を問わず続きます。
一方、「仲添え」に使われる蒸し米も手で運ばれ、一日目に「初添え(はつぞえ)」が完了しているタンクに、一日休む「踊り」を経て、投入されます。
「仲添え」されたタンクは、古来からの三段仕込み最終工程の「留添え(とめぞえ)」とつながります。
ここまでの作業で本日の仕込みは終了し、明日以降の準備に移ります。明日の蒸し米のため、ただでさえ寒いこの日でも、素手を水に浸し洗米を行います。
その一つ一つの手作業がおいしい酒造りにつながるかと思うと、見ているこちらも身の引き締まる思いです。