コロカ事業
福井県小浜市・とば屋酢店
- 店舗レポート
手間を惜しまぬ仕込み
とば屋では、仕込み米に福井県のコシヒカリを使い、まずはお酢づくりの大もととなる酒を仕込みます。その調整は手作業で行いますが、この作業がお酢の出来を大きく左右するため、熱くて大変な作業も慎重かつ念入りに行っています。
甘酒を仕込んだ後、創業以来生き続ける種酢を甘酒に混ぜた仕込み液を壺の中に注いでいきますが、その際、甘酒は濾過せず、米も麹もそのまま仕込みます。手間がかかるため他のお酢屋さんでは見られない製法ですが、これがとば屋独特の味を醸し出す秘訣と考えられています。
独自の発酵方法
とば屋では、お酢の発酵も「静置発酵」という方法で行っています。写真は発酵20日目の様子ですが、表面に白い酢酸菌膜という白い膜が張っています。これは通称「ちりめん膜」と呼ばれ、発酵2~3日目くらいからでき始めます。この膜が出来始めることで、元気にお酢が醸し出されていることを実感し、ひと安心するそうです。
また、この発酵させている壺は、発酵熱で人肌のような温かさがあります。とば屋では、壺の周りに「もみがら」を敷き、温度を30~40度に保ちます。もみがらを使って保温する方法は、日本でもとば屋だけが行う独自の技法とのことです。またとば屋では、保温性に加えて通気性を確保するために、一つ一つの壺に藁をかぶせてフタをします。米どころならではの製法ですが、毎日の気温など、その日の状況に応じてかぶせる藁の枚数を変えるなど、細やかな対応が必要になります。人間が布団の枚数を変えるように、まさにお酢が生き物であることを示しています。