コロカ事業
山形・佐藤屋の乃し梅
- 店舗レポート
染物に欠かせなかった「梅」
「乃し梅」誕生の背景には、このあたり一帯で古くから紅花染めが盛んだったことがあるようです。慎太郎さんが詳しく教えてくれました。
「紅花染めの美しい色を出すには、酸が欠かせません。昔は梅から摂れる酸を使っていたため、山形ではあちこちに梅 林があり、梅が手に入りやすかったのです。」
お向かいはお医者さん
もうひとつは、とても不思議な縁。江戸時代中期、佐藤さんの自宅の前にお医者さんが住んでいました。お殿様の薬も 処方していたというこのお医者さんは、梅を使った気付け薬を調合していました。
慎太郎さんのご先祖は、梅を使ったお菓子を作れないかと思い立ち、お医者さんから梅の扱い方を習得し、「乃し梅」を作りました。
そんな風に、200年近い歴史を持つお菓子ですから、製法はいたってシンプルです。
いたってシンプルな製法
材料は梅のエキス、水あめ、砂糖、寒天のみ。
材料の大部分を占める梅は、すべて山形県内で獲れたもので「乃し梅」に適した品種を契約農家が育てています。
材料を混ぜたら、大きな鍋でぐつぐつと煮て、灰汁(アク)をとります。
調味料や着色料を使っていないため、その年の梅の個性によって「乃し梅」の風味に微妙な違いが出るのだとか。
佐藤屋のお客さんのなかには、そんなわずかな違いを見極める常連もいるといいます。