コロカ事業

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長崎・味藤のからすみ


 

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丹念な作業の成果

薄くスライスする際のねっとりした包丁の通りは、天日干しで十分に熟成されたことが伺えます。そしてその切れ目からは、塩漬けした塩分と相まった濃厚な磯の香りが漂います。
「この香りは、作っている最後の最後で出てくるんです。」と藤井社長。
長期間しっかり天日に干していても、香りが表れるのはなんと最後の1~2日だとか。
「それまでは、香りなんてまったく出ないんですよ。」
香りが出てようやく安堵するそうで、毎回毎回、最後まで気を抜けない作業だそうです。
スライスされたからすみを口に運ぶと、チーズのような、塩辛のような、なんともいえぬ濃厚な味わいがゆっくりと広がります。からすみの味わいを楽しむ、最高の瞬間。
そして、先に紹介した丹念な油抜き作業の成果を、再びここでも感じることができます。
通常のからすみは、ねっとりした全体の感触だけが残るのですが、味籐のからすみは、卵の粒一つ一つを舌に感じることができるのです。

しっかり丁寧に油を洗い落としたからこその出来上がりに、あらためて舌鼓。香り・歯ざわり・舌触り・味わいが全て楽しめるとなると、やっぱり思わずお酒がほしくなります。きっとこれは、脳が正直に反応している証拠なんだと実感しました。
そんな味籐のからすみ、実は一人の女性がいたから出来た味なのだそうです。

 

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世界100人のマイスターに

創業者である藤井国蔵さんの奥さん、藤井静恵さんがその人です。
もともとは、からすみ製造には全く関係ない家柄の生まれだったそうですが、国蔵さんと結婚した後、その才能が開花します。
「からすみ作りに必要な"感覚"をもっていたんです。」
からすみは作っている時に味見ができないため、ボラから卵巣をとりだす際も、丁寧に洗う際も、塩漬けにしていく際も、さらに塩を抜く際も、天日に干す際も、どんな味になるかは、全ての工程において指先を始めとする五感で感じる必要があります。
静恵さんは感覚がずば抜けて優れていたようで、素材である卵巣の状態、真子が塩水に浸って膨張した際の色・張り・弾力などの感触を、まさに「研ぎ澄まされた指先」で味わっていたそうです。
それは、某食品メーカーの記念祝賀イベントとして、世界のマイスター100人に選ばれたほど。


「日本人は数人しかいなかったんですが、その一人がうちの祖母なんです。」

藤井社長が誇らしげに教えてくださいました。
世界のベスト100に選ばれた味。
味籐のからすみは、紛れもなく日本の逸品でした。

 

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からすみいろいろ

味籐では、からすみそのもの以外にも、複数の商品を展開しています。
「お茶漬け」はからすみのチップが入った本格的な味わいが楽しめ、からすみパウダーは手軽にパスタを作るとができます。また、「生からすみ」や「酒盗」も絶品。
特に酒盗は、「好んでくれている知人が、たまたまウチの酒盗を贈答してくれたら、贈られた方々が続々と気に入ってくれまして。凄い勢いで依頼が殺到したこともあるんです。」
そんな逸話もある商品、訪れた際はぜひ購入することをオススメします。

 

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