コロカ事業
長崎・味藤のからすみ
- 店舗レポート
活発な往来・長崎
長崎空港から高速バスに乗り込み約30分、長崎駅に到着しました。坂の多い長崎らしく、人々の移動手段として交通機関が発達し、道路には自動車、バス、タクシー、路面電車が頻繁に行き交っています。特に、自動車やバスのエンジン音の隙間から聞こえる路面電車の音は、軽快なアクセントとなって街に活気を感じさせます。
それからバス停(長崎駅前東口)から県営バス(50番線)に乗り込み、15分ほど長崎市街と坂を揺られます。途中、長崎でも有数の坂といわれるせまい坂道を職人ワザのような運転でバスは通過し、「白木」というバス停に到着します。
今回は長崎の特産品、日本三大珍味の一つに数えられる“からすみ”を無添加・手作りにこだわって作り続ける味籐さんにお伺いしました。
戦前からの逸品
「長崎で戦前からからすみを作っているのは、ほんのわずかしかないんですよ。」
この日出迎えていただいた、藤井治(ふじい・おさむ)社長がおっしゃいます。
「その中でも、うちは家族経営で、本当の手作りをコツコツとやり続けているんです。」
そんな味籐さんのこだわりは、一つ一つの作業を丹念に行うこと。からすみ作りは、言ってしまえば極めてシンプル。原料はボラの真子と塩だけ。製造工程は、ボラから卵巣を取り出して洗い、真子を塩漬けし、塩抜きと天日干しを繰り返す。非常にシンプルだからこそ、一つ一つ丁寧に行うそうです。そのこだわりの商品は戦前から、ひいては戦時中でも食べられていた逸品だそうです。
「お客様に、『昔、海軍にいた時にからすみ食べたなぁ』と懐かしみながらおっしゃる方がいたんですが、やっぱり舌が覚えていたんでしょうね。」と藤井社長が微笑んでいました 。
シンプルだからこそ
味籐のこだわりは、からすみの見た目にも表れます。 「いいモノかどうかどうかは、色を見ればだいたいわかりますよ。」と藤井社長。からすみの色は通常オレンジ色のイメージですが、一つの作業でその色味も全く異なってくるそうです。
まず、ボラから卵巣をとりだした際、丁寧に洗う工程があります。これは卵に付着する余分な油を洗い落とす作業なのですが、この作業が甘いと、油が酸化して最終的にからすみ自体が黒っぽくなったり、からすみらしい独特な味に影響を与えてしまうそうです。
味籐では、油を抜けやすくするために、卵巣の動脈などを取り除く作業も入念に行っているため、その色味は、山吹色に近いほんのり淡いオレンジ。
シンプルだからこそ、丹精込めて作業を行っているかは、はっきり商品に表れます。 こだわりの証を、さっそく味わってみました。