コロカ事業
岡山・倉敷帆布のバッグ
- 店舗レポート
商品開発を始めたワケ
武鑓さんが社長に就任した頃、帆布の需要は減り、工場を辞めるかどうかを考えなければならない状況だったそうです。
「工場はあまり儲かっていませんでしたが、うちの帆布を使った国内ブランドのバッグは、人気があってよく売れていました。それを見ていて、この素材は100年以上が経ってひとつの役目を終えたけれど、まだどこかに魅力があるんだろうと思いました。だったら残せるものならば残したい、その魅力を材料屋だからできる形で伝えていこうと思いました。それで、自分たちで製品まで作ることにしたんです」
商品の中には、オリジナリティを出すために、プロダクト・デザイナーにデザインをお願いしているものもあります。お店にすてきなデザインの雑貨がたくさんあったのはそのためです。商品として販売を始めるとかなりの反響があり、多くの人に倉敷帆布を知ってもらうきっかけになりました。
帆布には規格がある
もともと工業製品として使用されることが多かった帆布は、生地というだけでなく、ベルトコンベヤーやテントなどの工業製品として使用されることも多かった帆布は、クオリティを一定に保つ必要がありました。そのため、早くからJIS規格(日本工業規格)が設定されていました。
「番手」というのは糸の太さを表す単位で、帆布では10番手の糸を使用しています。ちなみにワイシャツなどは30〜40番手の糸を使用するそうですから、帆布の糸がいかに太いかがわかります。そして、糸をタテとヨコで何本合わせるか、2.54平方センチメートルあたりの織りの密度、1平方メートルあたりの重さによって、1~11号まで、帆布の種類が決まります。
たとえば基帆シリーズのトートバッグは、10号帆布が使用されています。もう少し厚手のトートバッグだと、6号帆布を使用しているものもあります。用途や必要な強度によって、使用される帆布の種類も変わるのです。
倉敷帆布の魅力
天然素材のナチュラル感がありながらも実用的、これが帆布の魅力です。武鑓さんは「まずは1年使ってみてほしい」と言います。
「ずっと使っていると、生地が柔らかくなってちょっとすり切れたり、味わいが出ます。同じようなバッグで合成繊維のものがあったら、値段はそちらが全然安いと思います。でも1年使い込むと違いがわかるんですよ。クタクタになるんだけどなんか手放せない、愛情をもって長く使ってもらえるのが、帆布のいいところなんです」
とにかく丈夫な織り物なので、ひとつ買えば5年、10年と使える一生モノの帆布の商品。安い流行のデザインを使い捨てるのではなく、長く使える本物を選ぶことで、物の本当の価値が見えてくるものなのかもしれません。