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瀬戸内海・北木島の灰干し


 

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灰干しは偶然の産物

もともと鹿児島の桜島の漁師達が天日干しで干物を作っていたところ、火山が噴火してその干物に灰が降りかかるといった偶然の出来事によって考案された「灰干し」。

灰がかかり売り物にならなくなった干物の処分を惜しんだ漁師達が、仕方なくその干物の灰を振り払って食べたところ、天日干しより美味しいと評判になりました。

天日干しの場合、屋外に干して魚を風にさらし、更に太陽の光の熱によって水分を取り乾燥させるのですが、その場合、魚の表面にある旨味の元ともいえる脂が減ってしまいます。

しかし、「灰干し」では吸水率の高い「灰」を使用することで、脂を最大限に残しつつも水分を取り除くことが出来るのだと言います。

そして、表面の水分だけでなく、魚の臭みや水っぽさの原因とも言われている細胞内の余分な水分「遊離水」まで取り除いてくれることにより、生の新鮮さも残るのだそうです。

また、魚に直に灰をかぶせるのではなく、布とセロハンを使用することで、灰を払う必要のない方法も考案されました。

今まで世間に広まらなかった理由は、灰の入手法や全て手作業という作業効率の問題があったからだと鳴本さんも仰いますが、灰干しプロジェクトでは効率が悪いからこそ、そこに新しいビジネスチャンスが生まれると考えました。

 

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「こりゃいけるぞ」

プロジェクト発足当初、石の細粒化のみを行う予定だった島づくり海社でしたが、せっかく瀬戸内海という海に囲まれた場所にあるということから、北木島でも灰干しにチャレンジすることになりました。

実験を重ねやっとの思いで出来た試作品を商品化するにあたって、島民を集めた試食会を開くことになりました。

試食会当日、配膳された魚を前にして島民から声が上がります。

「まずは理事長が最初に食べにゃいけんでしょ。」

しかし、そうは言われてみたものの、実は鳴本さんは大の魚嫌い。

「あの魚の臭いがダメなんよ。」と、我々にも話します。

結局、必死に拒んだ鳴本さんでしたが、「これをやろう言った理事長が食べれんゆうのはいけんやろ~。」という島民の声により、泣く泣く食べることになったそうです。

すると、「まったく魚臭くない。しかも身がふっくらしていて美味しいじゃないか。」

「こりゃいけるぞ。」と、確信。

このプロジェクトに今後の期待を大きく乗せることになります。

 

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笠岡諸島の代表として

その後、灰干し事業の拡大をしようと、NPOとは分離させて平成20年に「株式会社島のこし」を設立。

店舗を持たない島のこしは、事務所での販売となります。他のコロカ店のように雰囲気のある老舗とは違いますが、お客様の満足度を高めるためには何でもしていきたいと、送迎付のプランやお食事の提供なども考えていただきました。

また、北木島だけでなく笠岡諸島の他の島にも是非足を運んでいただきたいと、来店してくれたお客様には、真鍋島や白石島の紹介なども計画しているそうです。

また、灰干し以外にも瀬戸内海の海苔、タコの一夜干しなどの海産物や白石島で栽培している白石桑茶などの商品も取り揃えており、北木島だけでなく瀬戸内海・笠岡諸島の産物を通して、6つの島の認知も高めていきたいと考えているそうです。

そして、少しでも島の雇用創出に繋がるように新しい事業を今後も考えていきたいと鳴本さんは取材の最後に仰いました。

「島の人たちが、元気で、ずっと島で過ごしていけるように。」

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