コロカ事業
香川県東かがわ市・羽根さぬき本舗
- 店舗レポート
手間を惜しまない
黒砂糖のように、甘味以外の味が生きていながらアクが無く、ショ糖のように、甘味以外の味わいが口に広がる和三盆。
その製法は、以下のような行程で行われているそうです。
サトウキビの汁を搾る
昔は歯車と石臼を用いて一本一本絞り出していたそうです。
現在はこの道具を利用していませんが、同じように一本一本から絞り出しているとのこと。
粉砕して一気に絞る技術もありますが、三谷社長が求める和三盆にはそぐわないため、やはり一本一本絞ることとしたそうです。
絞り汁を煮詰め、不純物を取り除く
昔ながらの木桶と素焼きの桶を使い、煮詰めながら不純物を取り除きます。
大量生産には向かないものの、200年に渡る代々の当主が研究してきた技術がそこにあり、その他の方法を試した結果が戻ってくるのだそうです。
そして、今なお良い和三盆を作るために、研究を続けているとのことです。
これら道具の一部は登録有形文化財の指定を受けており使えないのですが、現在は使えるもので作業をしていらっしゃいます。
ここまでで、ようやく白下糖ができあがりますが、和三盆はさらに糖蜜を抜く作業を行います。
押し船で糖蜜を圧搾
機械によるプレス圧縮など、様々な手法研究しましたが、最終的には昔ながらの押し船で圧搾する手法にたどり着きました。
棒の先に掛ける石の重みでゆっくり糖蜜が分蜜されていきます。
時間が経過する毎に糖蜜の味も変わり、最初はいかにも不純物というようなイガイガとした甘味ですが、最後は発酵も進みワインのような香りを湛えた、優しい甘さの糖蜜が流れだします。
研ぐ
この作業こそが和三盆の和三盆たる由縁です。
研ぎ台の上に、圧搾され分蜜された白下糖を出し、人の手で研いでいきます。
研ぐことにより、四角い砂糖の結晶が丸みを帯び、糖蜜がより流れやすくなります。
この作業は4人がかり、固い桜の台で行われます。
この研ぎ台もケヤキやステンレスで試したそうですが、砂糖が台につき、味が変わるなど様々な影響を出したために、昔ながらの桜にこだわっています。
この作業を五回行います。
この作業中、砂糖は発酵をし、甘くほんのりと酒蔵にいるかのような発酵臭をだします。
これが店舗に入ってきたときに漂っていた香りなのです。
回数を重ねる毎に、色とにおいが薄れるものの、サトウキビの風味はそのままです。
最後に寒風のもとにさらして乾燥させ、ようやく和三盆糖ができあがるのです。
昔は研ぐ作業を研ぎ台の上で三回行ったこと、中国産との違いを明確にするため、「和三盆」と名付けられたそうです。
一工程で約一週間という時間をかけて、昔からの知恵が結集した和三盆糖は、口に含むとさっぱりした甘味が駆け抜け、旨みが感じられる至上の逸品となるのです。