コロカ事業

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岡山県備前市「直齋陶房」を訪ねる


 

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不利を利点に・藤原雄

和さんの父親・藤原雄(ゆう)も備前焼史上四人目の、人間国宝です。

生まれつき両目の視力にハンディキャップを持ち、左目は見えず、右目もモノのシルエットが極僅かに感じられる程度だったそうです。

幼いころからのハンディキャップに備前焼の道はあきらめ、父が挫折した道・文学を選択。明治大学文学部に入学し、卒業後はみすず書房に入社するも、父・啓の看病のため半年程度で帰郷しました。

 

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人間国宝・藤原雄

その後、父・啓に師事し備前焼を始めるものの、造形を行う上で視覚のハンディキャップを持つ雄は、頭に沢山の傷を持っていたと和さんは語ります。

その傷というのは、目が不自由ながらも父・啓の作陶をより観察するために近くで見るのですが、接近しすぎて作業中の父・啓によくたたかれて出来たものだったとか。

しかし、視覚面でのハンディキャップは雄に最大の長所をもたらします。視覚情報が少ない点を触覚で補うようになったのです。

備前の土の特徴を手で熟知し、その手から得られる情報を元に作り出される作品は、父の豪快な作品に比べ、なめらかで艶めかしさすら感じさせる仕上がりになるのです。

「ああすてきだな、と素直に感じる感性、心の震えが大切」雄の言葉には、彼の感覚世界に由来する父とは全く逆の、しかし純粋に追求するという意味では同義の備前焼があるようでした。

 

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人間国宝は頭領だ

和さんは大学卒業後の22歳で祖父・啓と父・雄に師事し、陶工としての道を歩み始めました。

祖父や父から受け継いだ藤原備前の美に、自分らしさとして「使う美」を標榜されています。

窯の火止めを行ったこの日、まだ近づくと熱気が立ちこめる窯を見せていただきながら、和さんに人間国宝としての祖父・父の印象をお伺いしました。

「人間国宝って言っちゃうと、すごく偉そうな感じで近寄りがたいけど、その世界の頭領だと思うんだよ。後進を育て、目標としてもらう人だから、リーダーだよね。」と語る藤原さん。

 

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