コロカ事業
丹波篠山 小田垣商店の黒豆
- 店舗レポート
栽培の難しい「クロウ豆」
しかし小田垣商店の常務取締役・小田垣昇さんは丹波黒大豆について、「黒豆ではなく『苦労豆』と呼ばれるほど、農家泣かせの作物です」と言います。
篠山市一帯で栽培される丹波黒大豆は、一般的な黒大豆より栽培期間が長く、花が咲いてから黒豆として成熟するまでの期間が約100日と、1.5倍の登熟日数があります。その分、台風や長雨で豆の傷む危険性が大きくなるのです。また、作付面積あたりの収穫量も黄大豆や一般的な黒大豆より低いため、育てる際には細心の注意を払わなければなりません。
それでも丹波の人びとが黒大豆にこだわるのは、丹波黒大豆が美味しく、調理法も多い魅力ある農作物だという自信があるからでしょう。
シンプルな調理でわかる味
丹波黒大豆は、大豆の中でも特に粒が大きく、食感がもっちりとしているのが特徴です。「やはり甘さ控え目の煮豆に仕上げて食べてもらうと、豆本来の味がわかってもらえると思います」と、小田垣さんは言います。「また、丹波黒大豆で豆ご飯を作るとほっくり炊き上がります。調理法もシンプルなので、こちらもお薦めです」とのことです。
小田垣さんはさらに、「長期保存をするには生の黒豆を冷蔵庫の野菜室で保存してください。家庭で生の黒豆を煮豆などに調理していただければ、市販のものより甘味を抑えられ、健康にも良いものができます」と、教えてくれました。
近年では、丹波黒大豆を10月中旬頃に枝豆として食べる機会も増えています。小田垣商店がある篠山市の秋のお祭りでは、黒大豆の枝豆を片手に夜店を見てまわる若者の姿が、多数見受けられると言います。
触るだけで良し悪しを判別
「小田垣商店では、そんな丹波黒大豆をより美味しく食べられるよう、素材の良し悪しと大きさによってランク分けをして出荷しています。丹波黒大豆は基本的に、大きいほうがより質の良いものとされます。その中でも、品質が優れ、且つ特に大きい物は「飛切極上(とびきりごくじょう)」の品として、販売されることになります。
しかしここでは、ただ大きさを見ているだけではありません。黒大豆を丁寧にチェックし、発育や色のよくない豆を取り除いているのです。
契約農家などから買い付けた丹波黒大豆はまず、機械で大きさを分けます。同店の職人の中には、この段階で黒大豆を触るだけでその良し悪しがわかるといいます。この工程を経た豆は、さらに一粒一粒を人間の目で確認し、分けていく「手撰(てよ)り」にかけられていきます。