コロカ事業

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京都・田勇の丹後ちりめん


 

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セリシンが生む心地よさ

絹織物が生まれる工程で、重要な役目を果たすのが繭に含まれるニカワ質「セリシン」です。繊維質のまわりに付いているセリシンは、生糸を撚ったり束ねたりするときもノリのような働きをし、撚りを止めてくれます。セリシンは最終工程で洗い落とされますが、近年では化粧品などに用いられています。

「蚕は自分の身を守るために、糸とセリシンで紫外線や湿気等にも強い空間を作るわけですから、そこからできる絹織物が快適なものにならないはずはありません」と、田茂井さんは自信をのぞかせます。

こうして完成した丹後ちりめんは、おもに白生地として出荷され、京都市内の呉服屋などに卸されます。京都には、西陣織や京友禅といった織物・染物がありますが、たとえば、西陣織の織を丹後で担うなど、かつて都から持ち込まれた技術によって今では京都の繊維産業を下支えしているのです。

 

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元気のない時にこそ

しかし、丹後ちりめんの置かれた状況は、決して楽観視できるものではありません。

昭和48年の最盛期には980万反が織られた丹後ちりめんは、着物離れや不況のあおりで今はその20分の1程度にまで生産量が落ちています。また、後継者不足に悩まされている織物業者も少なくありません。

「状況が厳しくなるなか、我が社だけが生き残っても意味はないんです。丹後ちりめんという産業そのものが末永く続くよう努力しなければ」と田茂井さんは力強く語ってくれました。

 

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実り始めた新たな試み

田茂井さんのそんな思いは、少しずつ実を結んでいます。2010年のAPEC首脳会議の際は、各国のファーストレディのガウンドレスに田茂井さんらの織り上げた丹後ちりめんが採用され、好評を博しました。またアメリカの化粧品メーカーTATCHAは、クリームのパッケージに田勇の丹後ちりめんを採用しており、海外から注目されつつあるのです。

また田勇でも、絹織物を用いたタオルや洗顔パフ、名刺入れ、バッグ、さらにはセリシンを原材料とする入浴剤など、若い人が手にしやすい絹製品を次々と開発しています。

田茂井さんは、こうした機会をとらえ、丹後ちりめんを再び盛り上げようと考えています。「この町に一度来てもらえれば、その後反物を見るたび、『そういえば京丹後で織機がガシャンガシャンと織っていたな』と思い出してもらえるはずです」と、コロカに期待を寄せ、我々を見送ってくれました。

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