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BlueberryFieldsのジャム


 

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ブルーベリーの可能性

しかし、農業をするにしても何を作ればいいのか。

もともと田んぼの土地でしたが、減反政策の抑制や、多くの米農家が台頭する状況に、素人が挑戦するメリットはゼロに等しい。そう考えた末、辿り着いたのがブルーベリーでした。

「京都在住時に通っていたフランス料理の教室で、パティシエの先生がブルーベリーの魅力を熱く語っていたのを思い出したんです」

当時のブルーベリーは国内での生産はおろか入手自体も難しい希少な果実で、使われるシーンもフランス料理が主。一般的にはほとんど認知されていませんでした。

しかし、時代がバブル全盛期に入ると、京阪神地域にフランス料理のレストランを併設した新築ホテルが続々と建築され、少し奮発すれば誰でもフランス料理を楽しめる世の中になってきました。

「人がやっていないことでニーズがあるもの」

岩田さんはブルーベリーの可能性に賭けたのだそうです。

 

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環境への配慮

農地がたまたまブルーベリー栽培に適した酸性土壌の土だったことも幸運の一つでしたが、最も幸運だったのは岩田さんが素人だったこと。

農薬全盛期とも言われていた当時でしたが、岩田さんは素人ゆえに農薬の扱いが解らず、除草剤散布を行いませんでした。

そのため畑に生い茂った草の根が土を耕し、酸素を土に送り込み豊かな土壌にしてくれる。

素人であることが逆にはたらき、自然の力によって、夏の日照りでも木を枯らすことなく、順調に収穫期を迎えることができました。

そうして、農業を通し、水や土、植物や微生物など、あらゆる自然の恵みに気付き感動する日々を送ることになった岩田さん。

「今いる場所は紛れもなく地球の一部であり、決して自分のものではない。もし前の所有者が農薬や除草剤を撒いたのなら、化学物質のない綺麗な土にして次の世代に繋げていきたい」

農業に取組むことで、そんな思いが芽生えていったそうです。

 

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価値あるもの

しかし、年に1度しか収穫できないブルーベリーの青果販売だけを頼りに生活するのには、リスクが高すぎる。

収穫が安定してきた頃には、レストランの運営や農産物加工品であるジャムの製造にも着手します。

せっかく農薬を使わずに栽培したブルーベリーの、そのままの美味しさを伝えたい。

栽培同様、ジャムに関しても余計な化学物質は使用したくないと、業務用のペクチンや混ぜ水などを一切加えない純粋なブルーベリージャムを手作りで製造しました。

自信をもてる商品は出来たものの、栽培の過程や手作りの製造に掛ける時間、瓶代などを踏まえて値付けするとジャムは1本1000円にもなってしまいました。

「自分でも高いと思います。だけどこの値段で売れないならジャム作りは続けていけないと。高いけどそれだけの価値があると認めてもらえるものを作ろうと思いました」

と、岩田さんは当時を振り返ります。

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