コロカ事業

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奈良県宇陀市「森野吉野葛本舗」を訪ねる


 

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葛の製造のあらまし

生葛と第1回目の撹拌(かくはん)

葛の原料は、堀子(ほりこ)と呼ばれる、葛の根を掘る職人さんから入荷します。
入荷したばかりのものは生葛と呼ばれています。アクを大量に含み、土のような茶色く濁った色。これを水槽に入れ、冷たい水で撹拌し、浮いたアクをすくい、2~3日かけて沈殿するのを待ちます。

 

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寒晒し (かんざらし)

沈殿した葛の上澄みをきれいな水に入れかえ、撹拌・沈殿を7~8回繰り返し、不純物を取り除いていきます。
1回の沈殿に2~3日かかるので、精製が終わるのは約2~3週間後。撹拌は、機械によるものですが、それ以外は昔と全く変わりません。
デリケートな葛の精製に薬品などは使いません。そのため水の良し悪しが品質を左右し、さらに、ほぼ0℃の水は無菌状態に近く、雑菌の繁殖も抑えられます。
体の芯から冷えるような寒さの土地で、真冬にだからこそできる寒晒し。400年以上も寒さに耐えながら守ってきた製法に、ただただ感動です。

 

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乾燥

寒晒しを終えた葛は2カ月かけて乾燥させます。
昔は山の冷気が欠かせませんでしたが、現在は冷風乾燥機によって一定の温度で乾燥させることで、より高品質を実現させているそうです。
こうして、夏の涼感を誘う甘味は極寒の季節にすべて作られているのでした。

 

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吉野本葛のブランド

「吉野本葛」という商品名は、認められた会社の、決められた品質の商品でしか使用できません。
しかし、つい数年前までは、吉野地域でないところで作られた葛や、吉野の葛をほとんど使っていないものにもその名が使われていたそうです。
そこで、吉野葛製造事業協同組合が奈良県とともに地域団体商標として登録申請し、品質を保証するブランドとして認められたのでした。
森野さんは、「本物の吉野本葛ブランドを守っていくことも我々の役目。」とおしゃっていました。

 

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