コロカ事業
身延・五大の角ゆば
- 店舗レポート
【身延線(みのぶせん)に揺られて】
JR富士駅より特急ふじかわ号で身延線を北進すること1時間弱、身延駅で普通列車に乗り換え、塩之沢駅に降り立ちました。
身延線は静岡県の富士駅と山梨県の甲府駅を南北につなぐ路線で、日本三大急流にも数えられる富士川に沿ってカーブを描きながら走っています。
富士駅を出て市街地を抜けると車窓の右側に、次いで富士宮駅を過ぎると左側に富士山が見えます。あいにく雲がかかってはっきり見ることはできなかったのですが、天気のいい日のおでかけなら、広い車窓からきれいなシンメトリーを描く富士山を眺められることでしょう。
さて、コロカ店の最寄り駅となる塩之沢駅は、特急停車駅となる身延駅の一つ北側にある無人駅。切符はワンマン運転の運転手さんに渡します。身延側のホームの端から道路に降り、電柱に出ている「五大(ごだい)」の看板を頼りに5分ほど歩くと「ゆば工房 五大」に到着です。
【700年の歴史】
湯葉と聞くと東は日光、西は京都で食された方も多いのではないでしょうか?
湯葉そのものは1200年前に中国から伝来したとされています。日本で最初に伝わった比叡山麓の京都や近江、さらに日光など、門前町が産地として有名です。
身延町は日蓮宗総本山・久遠寺(くおんじ)の門前町。やはり古くから地元の名産品として湯葉が定着していました。
その歴史は700年以上前に遡ります。当時、修業中の日蓮聖人のために弟子たちが作ったことから始まり、綿々と受け継がれてきました。
福井県の永平寺付近で伝承されてきた豆腐やごま豆腐などと同じように、精進料理のなかでは貴重な植物性タンパク源として重宝されたのですね。
【湯葉専門店への決意】
お店で我々を出迎えてくださったのは、社長の望月五夫さんと奥様の朱実さんです。
「ゆば工房 五大」は望月さんが創業したお店です。それまで食品製造に関わったことのなかった望月さんは、母親以外の家族みんなが反対するなか、湯葉だけの店づくりを決意しました。
「当時は湯葉需要が結構あったのですが、湯葉の製造工程は手作業のため、なかなか数量を作れなかったのですよ。身延で専門に製造販売しているところは農協くらいでしたね。」
望月さんは家族の反対を背に、静岡の豆腐店へ修行に出ました。