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千葉・木戸泉酒造の純米AFS

 

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個性際立つ千葉の地酒

房総半島の南東部に位置する千葉県いすみ市。東京駅から京葉線に乗り大原駅に近づくにつれて、沿線には田んぼが目立ってきます。昔ながらの雰囲気が残る町に、全国でも珍しい製法で酒づくりを行う蔵元を訪ねました。明治12年創業の木戸泉酒造は、長期熟成酒の製造に取り組んできた造り酒屋です。

最初に聞いたときは「日本酒にも古酒があったの?」と思ってしまいました。泡盛や紹興酒の古酒にはなじみがありますが、日本酒の長期熟成酒は、まだあまり知られていないのではないでしょうか。しかし、文献によると鎌倉~江戸時代の昔から日本酒の古酒は貴重なものとして楽しまれていたようです。その後、明治時代の酒税法の仕組みや戦時中の米の食糧統制などによって古酒製造が難しくなったために、すたれてしまったのです。

 

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大きな杉玉を目印に

まずは、アクセスから紹介します。電車の場合は、東京駅京葉線ホームから出る特急「わかしお」「ビューわかしお号」で1時間10分ほどの大原駅で下車してください。ここは乗り物コロカの提携路線であるいすみ鉄道の駅でもあります。改札を出て直進し、大原商店街の信号を右折。約300m進むと、左手にある門の上に大きな杉玉(酒林)が見えてきます。

自動車で東京方面から向かう場合は、東関東自動車道を市原インターチェンジで降り、国道297号線で大多喜町へ。大多喜町からは国道465号線で約30分です。大原町役場入り口交差点わきにあります。

ちなみに、造り酒屋の軒先でよく見かける杉玉ですが、ここのものはかなり大きめ! 重さはなんと500キロだそうです。新酒の販売とともに飾られる杉玉は、最初は緑色ですが、やがてお酒が熟成していくのと同じように茶色に枯れていきます。そして翌年また新しいものに変えられます。

 

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熟成するほど、まろやかに、

大きな杉玉のある門をくぐると、杜氏をつとめる5代目の荘司勇人さんが迎えてくれました。30年以上も前からの古酒が貯蔵されているというので、さっそく見せてもらいます。ずらり並べてみると、その色の違いにびっくり! 年数を経るごとに、淡いあめ色から濃い茶褐色になり、最後はルビーのような濃い赤へと変化していくのがわかります。

「商品として出しているのは、最低5年間は貯蔵したもの。限定品では40年以上のものもありますよ。古酒の香りは紹興酒のようでありながら、味わいは熟成が進むほどまろやかで上品になります。常温で少しずつ、味、香り、色を楽しみながら、ゆっくりと味わうお酒だと思います」と勇人さん。

そもそも一度はすたれていた古酒。それを手がけようと思ったのは、何がきっかけだったのでしょうか?

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