コロカ事業
茨城・結城紬
- 店舗レポート
結城紬の総合施設
今回「つむぎの館」を案内してくれたのは、企画広報の関根智恵さんです。敷地内は広く、中庭を中心に移築された古民家が何棟も並び、ショップやギャラリー、機(はた)織りの体験場、資料館、喫茶室と初心者の方も気軽に楽しめる施設が充実しています。買い物をしなくても、反物がずらりと陳列されたギャラリーではつむぎをじっくりと堪能でき、資料館では歴史や由来を学ぶことができます。
まずは資料館を訪れて、本場結城紬の中でも重要無形文化財に指定されている3つの技術について、ひとつずつ、詳しく教えていただきました。
糸をつむぎ絣で模様を
まず一つめは糸をつくる技術、「糸つむぎ」です。蚕の繭をお湯に浸して柔らかくして真綿をつくり、この真綿から糸をつむぎます。蚕の出した一本一本の糸に一度戻したものを複数本束ねてつくる糸が「生糸」であるのに対して、「つむぎ糸」は、はじめに一本一本には選り分けず、細いまとまりを糸にしていくため、不揃いの風合いが出ます。
二つめが布に模様をつくる技術、「絣くくり」です。そのレベルは気が遠くなるほど精密で高度なもの。色の染め分けをするために設計図に沿って、つむぎ糸に防染用の糸をくくりつけ、糸をくくった部分には色が入らないという技術で、つむぎ糸に色を入れていきます。最後にそれらの糸を織り合わせると、自然と模様が浮かび上がるという魔法のような手法です。
古代から続く地機織
そして三つめが、布を織る技術「地機織(じばたおり)」です。古代から使われているという伝統的な機織り機で、縦糸を腰に巻きつけ、腰で張力を調整しながら織っていくというもの。横糸を通しては、とんとんと糸の目を詰めながら織り進んでいきます。
手しごと用のさまざまな道具を使いながらも、全てが人の手による高度な職人技でつくられます。重要無形文化財技術で作られるものを含む「本場結城紬」は、値段も高価になりますが、奥順ではお客様の裾野を広げるために、「はたおり娘」という半自動織機を使った結城紬も作っているそうです。