コロカ事業
茨城・結城紬
- 店舗レポート
問屋ながらお客さんと交流を
つむぎ問屋「奥順」は、同じ問屋である本家「奥庄」の分家として明治40年に創業しました。庶民がおしゃれ着として着物を着た大正時代は、もっとも需要があり、多くつむぎがつくられた時代。戦後はブームとして着物が流行したこともありましたが、ライフスタイル全般の変化により、全体的な着物を着る人の数は年々少なくなっています。
そんななかで、3代目の奥澤順氏は、産地に直接お客様に来て頂く事で着物文化を一層広めたいと、「本場結城紬染織資料館 手緒里」を昭和52年に開館。平成18年には結城紬の総合ミュージアム「つむぎの館」をオープンさせました。
新ブランドでの挑戦
こうして問屋としてだけでなく、つむぎを広める役割と、独自の商品開発も始めることになった奥順。2009年から、新しく自社ブランド「YŪKI OKUJUN」を立ち上げ、若いスタッフを中心に、質がよくデザイン性も高い商品をつくり続けています。今「YŪKI OKUJUN」のラインでつくっているのは、ケープやポンチョなどのウェアとショールです。その落ち着いた色とデザイン、そして上品な品質が男性にも女性にも人気です。
普段は、半々くらいの割合で着物を着ているという関根さん。新しいお客さんに、着物のライフスタイルを提案できることが嬉しいと話します。この日も、着物をあつらえたという若い女性がお店を訪れていました。
晴れ着と違って、かしこまった席でも、カジュアルな場でも、きちんとした装いの印象を与えることができるつむぎの着物。一着あつらえれば、新しいお洒落の世界が広がるかもしれません。
かつての問屋街を歩く
この「つむぎの館」のある通りは「問屋街」と言われ、今も奥順以外に何軒かのつむぎ問屋が現存しています。この問屋街は「大町通り」と呼ばれ、200年前にはお城を訪ねる人々が往来するにぎやかな一番街でした。お城の跡地には、今は何も残っていませんが、重要文化財になっている薬屋だった古民家や、和菓子屋など古いお店が軒を連ね、当時の風情を残しています。
特に目につくのが和菓子屋です。「つむぎの館」の一部、喫茶「壱の蔵」もお洒落で落ち着いた雰囲気の店内でゆっくりお茶を楽しむことができますが、並びの「富士峰」も人情味あふれる和菓子屋で、この土地名物の「ゆでまんじゅう」を味わうことができます。