コロカ事業

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山十商店のひ志お


 

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歴史あるものには価値がある

作り手である室井さん自らが、「現代になじまない」という醤。それでもなお、醤にこだわり続けるのはなぜでしょう。その点についても室井さんに尋ねてみると、「長い年月残ってきたものには、それだけ価値があると考えているからです」とのこと。醤の歴史は古く、なんと最古の和歌集『万葉集』にも、その名が見えるのだとか。

また、室井さんは醤こそが醤油の原点であると考えています。醤油の発祥には諸説あるとされるのですが、室井さんは先に「醤」があり、そこから湧き出た油が「醤油」になったという説を採っています。「古代の石から染み出た油を『石油』と呼ぶのと同じですね」。

そんな醤だからこそ、現代の日本人にもっと受け入れられる可能性があるというのです。

 

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「ジャン」とも読める醤

「そのためにはこれまでと同様、醤を造り続けることも重要ですが、もっと大事なのは実際に食べてもらうことです」と、室井さん。冒頭で触れたように、醤はあくまで添え物、食卓の裏方です。ゆえにその知名度は、歴史に比して高くありません。

ならばと、室井さんは現在、料理のプロの手を借りて醤の新たな魅力を引き出す試みをしています。料亭で醤を使ってもらうのはもちろんのこと、中華料理店で豆板醤(トウバンジャン)などと同じく、醤(ジャン)の一種として使ってもらっているのだとか。「こうした試みが、醤の知られるきっかけになれば」と、室井さんは語ってくれました。もちろん、コロカもその一助となれればと考えています。

なお、取材時のお土産として購入した醤を小料理屋に持ち込んだところ、鯛の刺身に乗せて出してくれました。醤油で食すとはまた異なり、鯛の甘味と磯の香りがより増しているように感じました。

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