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大和川酒造店のカスモチ原酒


 

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テイスティングの楽しみ

蔵の見学の後は、テイスティングルームへ。ここでは大和川酒造のさまざまなお酒を試飲することができます。さっそく、味見させていただいたのは、先ほどご紹介した「原酒カスモチ」。普通のお酒の倍の時間をかけてじっくり発酵させ、甘さを引き出した大和川酒造秘伝の味で、お酒の辛さをはかる「日本酒度」でいえば、通常のお酒がおよそプラスマイナス3の間におさまるとしたら、カスモチ原酒はマイナス20という糖度の高いお酒です。ところが口にすると、しつこい甘さではなく、すっきりとした甘みの呑みやすいお酒でした。

日本酒が好きな方には、定番の「純米辛口弥右衛門」がお勧め。芳香な旨みと深い味わいで、間違いないお酒。さらに、袋つりという特殊な製法で時間をかけて絞った高級酒「いのち」も、400円で試飲できます。こちらはさらっとした本当に"奇麗なお酒"といった印象でした。

 

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エネルギーまでも自給

原料の栽培からお酒づくり、販売の仕方まで、これだけ徹底したこだわりを実践している大和川酒造ですが、さらにもう一つ。大きな展望を抱いています。それは電力の自給。現会長である佐藤彌右衛門氏が別会社として「会津電力」を立ち上げたことは、メディアでも取り上げられて話題になりました。

「会津電力は他社への売電をする事業として別会社で始めた試みですが、僕自身が実現したいのは、大和川酒造で酒づくりに使う電力の自立です。最低限、自分たちが使う分くらいは自家発電でまかないたい」。

太陽光に限らず、バイオマスや風力など、今後具体的に実現に向けて考えているところなのだそう。工場の屋根には既にソーラーパネルが設置されています。

 

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地震の経験から学んだこと

佐藤さんのこの夢に、東日本大震災は無関係ではありません。大和川酒造では直接大きな被害はなかったものの、風評被害により震災の半年後からぱったり観光客が減りました。

「これから先、万が一同じようなことが起こっても、大和川酒造の酒なら安全、大丈夫ってお客さんに思ってもらえるような信頼関係をつくっていきたいです。そのために米も低農薬の安全なものをつくるし、水も地元の奇麗な水を使う。さらに電力まで自分たちでまかなって、停電になっても問題ないと言えるようになったらすごくいいなと思っています」。

お米からつくっている酒屋は全国で他にもありそうですが、「さすがに電気まで自分たちでつくっているところはまだないかな」と笑う佐藤さん。福島の地元企業だからこその志です。それはさておいても、お酒の味だけでも充分、試してみる価値ありの酒蔵です。

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