コロカ事業
岩手・花巻のホームスパン
- 店舗レポート
新デザインは年600種
「戦後、祖父が立ち上げたこの会社は、時代が仕立服から既製服へとシフトし始めた頃、同業他社との差別化を図るため、自らブランドへ生地を売り込みにいったのです」と菊池さん。「先方の要望に必死で応えようとしたことが、認められたのでしょう」と語ります。
同店では1日に2~3種類、年間では600~700種類もの新デザインを生み出し続けているのだそうです。
「一時、ファストファッションがブームとなった頃は仕事が減り、本当に厳しかったのですが、それでも『他社がやらないことをやりたい』と、このやり方を貫いてきました」。
ここでは、農家の副業として始まったホームスパンが、少しずつ形を変えつつ受け継がれています。その丁寧な仕事は、近年、世界が認めるところとなりましたが、携わる人たちが製品に込める思いは、当時から何一つ変わっていないようです。お土産として購入したストールからも、そんな暖かさが感じられるようでした。
蔵のカフェでひと休み
日本ホームスパンを後にした我々は、例によって周辺を観光することにしました。冒頭にも述べたように、花巻市は童話作家・宮沢賢治とゆかりが深く、市内に関連施設がいくつかあります。「宮沢賢治記念館」はその一つで、賢治自筆の原稿や愛用品を見ることができます。そんな記念館へは、JR土沢駅から新花巻駅まで戻り、駅前のバスのりばから約3分の道のりです。
また、日本ホームスパンからJR土沢駅まで戻る道の途中には、独自の世界観を築いた画家・萬鉄五郎の作品を集めた「萬鉄五郎記念美術館」があります。すぐ隣には、鉄五郎が子供の頃遊び場とした蔵、「八丁土蔵」を復元したカフェがあるので、ここでひと休みするのもよいでしょう。
自動車で訪れた方は、東和ICの手前約200mの位置にある「東和温泉」に寄ってはいかがでしょう。こちらは日帰り入浴ための温泉施設で、個室の休憩室も完備されているため、家族連れでも気兼ねなく利用できそうです。
震災から復活を遂げたコロカ店
あわせて、『コロニーな生活』のお土産をチェックしておきましょう。岩手県では、全域で「わんこそば」や「南部鉄器の鉄瓶」を取ることができます。また、釜石線でJR土沢駅から新花巻駅を通過し、2駅先の花巻駅まで足を伸ばせば、駅周辺で「銀河鉄道の模型」を手に入れることが可能です。
コロカ店では、JR新花巻駅から新幹線で北上した盛岡駅近くに「蜂蜜」の「藤原養蜂場」があります。さらに北へ行けば、JR岩泉駅近くにある「ほおずきスイーツソース」の「早野商店」に行くことができます。いずれも県北部に集中しているため、比較的周りやすくなっています。
岩手県にはさらに、東日本大震災の壊滅的な打撃から努力の復活を果たした「醤油」の「八木澤商店」が、陸前高田市にあります。震災を乗り越え、笑顔で働く同店の方々と交流を深めてみてはいかがでしょう。