コロカ事業
寿都町「吉野商店」を訪ねる
- 店舗レポート
幻の廃線跡バス旅行
JR黒松内(くろまつない)駅からニセコバス・寿都(すっつ)バスターミナルへ35分。さらに寿都バスターミナルからニセコバス・岩内(いわない)ターミナル行きで15分。美谷(びや)漁港停留所を下車すると、道路を挟んで反対側が今回の目的地・吉野商店です。
黒松内と寿都間は、明治~昭和初期にニシン漁で賑わった寿都と、当時の国鉄(現JR北海道)駅である黒松内を結ぶ寿都鉄道がありま
したが、ニシン漁の斜陽や豪雨による河川増水に伴う路盤の流出で、廃業となった路線です。岩内経由で小樽までをつなぐ予定もあったため、「幻の路線」としてTVで取り上げられたこともありました。
到着すると、吉野社長の暖かい笑顔と、寒風の中に屹立するやぐらが迎えてくれました。
到着すると、吉野社長の暖かい笑顔と、寒風の中に屹立するやぐらが迎えてくれました。
やぐらの上は鮭
吉野商店の創業は昭和27年(1952年)で、吉野さんで二代目となります。
当初は雑貨・酒類販売を中心とした小売りをしていたそうです。
現在の業態である水産加工品の製造と販売を始めたのは、法人化となった平成3年(1991年)からとのこと。加工する食材は、寿都の浜で揚げられる魚介類をメインとしていました。
そして、吉野商店の代名詞でもある、やぐら寒風干しの鮭が登場したのは2001年頃。お話は、20世紀末にさかのぼります。
不利を有利に
1990年台後半、寿都では鮭が豊漁でした。しかし、北海道の鮭と言えば石狩や知床などでブランド化が進んでいる一方、産地として寿都は有名ではなく、また、日本海岸の鮭は脂のノリが少ないなどの難点がありました。そんな逆境の最中、寿都産の鮭を利用した商品開発に吉野社長は立ち上がったのです。
アイヌ文化として根付いていた寒風干しにヒントを得て試行錯誤の結
果、寿都の鮭を使ったことから町の名前を一字もらい命名した、「寒風やぐら干し 鮭寿(けいじゅ)」が誕生しました。
そして市場に出回るや早々、平成15年(2003年)の第52回全国水産加工たべもの展で水産庁長官賞を受賞したのでした。
弱点であった、脂のノリの少なさこそが寒風干しには利点だったのです。
そして市場に出回るや早々、平成15年(2003年)の第52回全国水産加工たべもの展で水産庁長官賞を受賞したのでした。
弱点であった、脂のノリの少なさこそが寒風干しには利点だったのです。