コロカ事業
寿都町「吉野商店」を訪ねる
- 店舗レポート
ワンメイクのF1カーを
鮭の持つ本来の味わいを引き出した「鮭寿」。そこまでは同様ですが、「鮭の風泙」の特徴は夏の到来と共に、鮭寿を冷凍し、翌冬に再度やぐらに干すのです。おおよそ11月~5,6月の半年間、大きさにもよるものの1~2シーズンを費やす商品もあるそうです。
表面にカビが生える寸前のタイミングまで干すことにより、一層独特の芳香が立ち上るとのこと。こうして1年~1年半干された鮭寿は、さらに旨み成分と香りが凝縮され、「鮭の風泙」となるのです。
「F1カーって公道は走れないけど、すばらしい車だよね?鮭でもトコトン突き詰めた物をつくってみたかったのさ。」誰にも真似できない味の高みを。「鮭の風泙」に込めた熱い思いを語る吉野さん。その命名には地元寿都への思いも込めているのでした。
風の町・寿都
寿都は昔から風の町と言われ、現在では風力発電の風車もたくさん設置されています。昔より漁業で生計を立てていた歌棄(うたすつ)では、風が強いと漁に出られないため風の神様「風泙(かざかみ)」を祭っていたそうです。
鮭と寿都の風が作り上げる鮭を超える鮭。その思いが、この商品を「鮭の風泙」と命名させたのでした。
鮭の生ハム
鮭の生ハムともいえる「鮭の風泙」ですが、そのまま食べる以外のおいしい食べ方を紹介していただきました。生ハムのように加熱していないため、そのまま食べると柔らかさと風味が口中に広がる「鮭の風泙」には、様々な食べ方ができるそうです。
今回は白飯の上に、薄切りの「鮭の風泙」を乗せ、ラップをして電子レンジで少々温めてみました。温められた「鮭の風泙」から芳香が立ち上り、一気に食欲を刺激します。
早速いただいてみると...。あっという間に一膳ペロリと食べてしまいました。濃縮された芳香と味わいにノックアウトです。
「昔の鮭が好きな人ほど、好きになってくれるんだよね。」と、吉野さん。
元々脂のノリが少ない上に、乾燥させ余分な脂肪分が無くなったことで味わえる鮭本来の身の味。紅鮭等の脂がのった鮭しか食べたことない人にとって、常識を覆す味かもしれません。
もっと寿都へ
吉野さんの地元への思いは「風の風泙」だけに留まりません。
ニシン漁で栄えた寿都の町にもう一度活気を戻したい。その思いから、様々な活動をされています。
「この鮭でみんなに来てもらいたくてさ。鮭とイクラの輪っぱ飯を出せないか考えているんだよ。道の駅にならって、風の駅とかおもしろいんじゃないかな。」
そう話す、吉野さんの笑顔は地元・寿都と鮭への思いで満ちあふれていました。
少し遠い寿都町ですが、四季のはっきりしている北海道の旅をして、吉野さんの笑顔・寿都の風に会いに行くのも楽しいのではないでしょうか。