コロカ事業

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松下蒲鉾店の天草かまぼこ


 

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エソは鮮度が命

結局のところ高知の人が天草のエソを邪険に扱っていた原因は鮮度の問題でした。

天草のエソは北九州を通って高知に着く頃には水揚げされてから2日も経ってしまいます。

鮮度が命の魚であるエソは、運搬され高知に着くまでの間に身が弱ってしまうので、質の良い蒲鉾は出来ないのです。

そこに気が付いた晶一さんは、さっそく天草のエソで蒲鉾を作ります。

結果、やはり鮮度の良いエソを使った蒲鉾は最高の味でした。

 

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蒲鉾に天草を凝縮する

また、ちょうどその頃、天草で天然の塩を作っているという方との出会いから、「松下かまぼこ店」の代表商品「天領」の構想が始まります。

晶一さんと美奈子さんは、その方から天草の素晴らしさを教えられたと言います。

良い塩を作るには、様々な条件を満たした環境がなければなりません。

塩作りには、生活排水の流れない綺麗な海と、強くたくましい太陽の光、そして適度な平地とそこに吹く適度な風が必要となるそうで、実は全国でもなかなか条件を満たす地域は少ないと言います。

「その方は自分の塩を作るために全国をまわって最終的に天草を選んだと言いました。それを聞いたときに、天草って特別なんだ。この海って他にはないんだって感動したんです。」

「その時に、この人が作る天草の塩と、天草の魚介で、天草の自然をギュッと凝縮したような蒲鉾を作ってみたいと二人で思ったんです。」

と、美奈子さんが話します。

 

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マニュアルは無い

そうして作られた蒲鉾「天領」の原料は、天草のエソと天草の塩のみ。(天領は10~6月上旬までの期間限定商品です)

松下さん夫妻が二人で漁協に足を運び、大きさや形にこだわったエソを漁師から仕入れ、職人さんと3日間掛けて丁寧に作り上げた蒲鉾は、農林水産大臣賞や天皇杯を取るほどまでの逸品になりました。

しかも、そのときのエソの大きさや形によって、蒸し方やすり方、蒸し時間や蒸しの温度までも変えて作るこだわりようで、天領に関してのマニュアルは存在しないと晶一さんは断言します。

「自分たちが心から納得できる蒲鉾を作っていきたい。」

各家庭における夕食のように、それを食べる家族と自分へ向けて、本当に好きなものを美味しいと喜んでもらえるように。そして「美味しいでしょ?」と自分達が自信を持って言えるようにと。

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