コロカ事業

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鹿児島県指宿市 「喜多つげ製作所」を訪ねる


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つげ櫛の製造工程

ここまでの話にあるとおり、つげ櫛の原材料は、ツゲの木です。原木から切り出された木材は原型となる大きさまで整えた後は、乾燥する工程になります。

 

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この乾燥の工程が非常に長く、時間がかかるのだとか。元々は柔らかいツゲですが、木目が密であることから2~3年程度では乾燥しないため、最低でも10年は寝かせるそうです。

先代から寝かせているという製材済みのツゲは、古いものでは40年経っているものもあり、表面は黒く煤けているように見えますが全く朽ちておらず、その堅さにびっくりします。

 

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乾燥工程を経た製材は、歯挽き(はびき)で一本一本の櫛の歯を作っていきます。そのスピードと緻密さは、まさに職人のなせる技です。
あっという間に、等間隔、かつ、最終形を見据えた形で歯が出来てゆきます。

 

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さらに、最終形に近づけるための成型へと続きます。大きく形を整えた後はサンドペーパーで細かく形を調整してゆきます。
一つのミスがすべてを台無しにしてしまう緊張の瞬間です。

 

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最後に、目の細かい布と、つげ櫛の手入れにはかかせない椿油で手入れをし、ようやく商品として流通させられるそうです。
乾燥後の木から完成までは、一日に一人の職人で30本程度が限界だそうです。

 

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また、整髪料のない昔から鬢付け油(びんつけあぶら)として髪の手入れに使われてきた椿油との組み合わせで、髪が切れず、静電気も出ず、髪の滑りが良く、つやが出るつげ櫛は、一生ものの道具であり、嫁入り道具の一つとしても持参していたそうです。
パーマや染髪によりダメージを受けた髪でも、椿油で手入れをしたつげ櫛を使っていると徐々に元のつやを取り戻す、とのお話でした。

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