コロカ事業

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宮崎県宮崎市 「宮崎の樟脳・染織こだま」を訪ねる


「衣」の安全を願って

児玉さんが樟脳を取り扱う理由は何でしょうか。その理由をお聞きします。

児玉さんが家業を手伝うようになったのは2007年。
当時、食品の「産地偽装」や住宅の「耐震偽装」、衣類の防虫剤に含まれる「発がん性物質」についての問題が取り上げられていました。
そんな中、児玉さんは「衣服を取り扱う者として、人々の安全を守るために何が出来るだろう?」と頭を悩ませていたそうです。

そして、樟脳の生産者である「藤山健一さん」との出会いが、答えを出してくれたのでした。

 

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決め手は洗濯機?

我々は樟脳についてもっと詳しく知るべく、生産施設「フジヤマスライサー」を訪ねることに。児玉さんにご案内いただき、一緒に日豊本線(にっぽうほんせん)の列車に揺られ、日向市(ひゅうがし)へ向かいます。

施設に到着すると、辺り一面に漂うのは木のいい香り。ヒノキ風呂の香り、といえば想像しやすいでしょうか。

 

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代表の藤山さんにご案内いただき、いよいよ生成工程の見学です。

まずは楠の材木を、細かいチップに加工。

 

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次に、ボイラーを用いてチップを蒸します。
すると、気体となった樟脳が取り出せるのです。

気体を、くみ上げた地下水で冷やしていくと、シャーベット状の固形物が姿を現します。

 

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その固形物に遠心力を加え、不純物を取り除くことで、純粋な樟脳を取り出すことができます。(遠心分離といいます。)

製造工程の説明を伺いながら、樟脳づくりに携わったきっかけを尋ねました。
藤山さんは製材業を営む傍ら、「木の良さを多くの人に知って欲しい」と考え、樟脳を作り始めたそうです。現在、国内の天然樟脳生産施設はここを含めて2か所を残すのみ。専用機材もないので、施設はすべて藤山さんのお手製です。

まず、蒸す工程に使用するボイラーは「焼却炉」を再利用。

 

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薪を利用することで、エコにこだわっているそうです。
そしてなんと、遠心分離の工程で利用されているのは「洗濯機」。
「高価な遠心分離機もいくつも試したけれど、意外に洗濯機が一番よかったね。」
藤山さんはそう言います。

 

 

1トンの楠から取り出せる樟脳の量は、わずか12キロのみ。楠の生命力がぎゅっと詰まった結晶は、こうして姿を現すのです。

 

情熱が生んだ商品

児玉さんと藤山さんの、樟脳に対する思いが一つになり、今回のコロカにも描かれた商品は生まれました。
「木綿をもっと近くに感じてほしい」
「衣服の安全を守りたい」
「木の良さを知って欲しい」
幾重にも重なる情熱を、我々も強く感じました。
ぜひ、安全な防虫剤として、天然のアロマとして、ライフスタイルに合わせてお楽しみください。

我々の暮らしと切っても切り離せない「衣」。身近な要素ではあるものの、見た目以上のこと、特に安全性については深く考える機会はあまりありません。
しかし、今回の取材を経てその重要性を再認識し、自然の偉大さを深く考えさせられました。
古くから日本に伝わる「樟脳」。先人が生んだ知恵には、ただただ頭が下がるばかりです。

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