コロカ事業
岡山県・奥津の姫とうがらし
- 店舗レポート
NPO法人てっちりこ設立
もちろん、この特産品計画は第三セクターで行政と共に「地域資源活用プロジェクト」の一部として行う予定でしたが、もともと自給のために作られていただけの唐辛子だったので、生産量を増やすために新たに生産者を募る必要に迫られました。
ところが、何人の生産者が集まるか予測もつかず事業計画が立てにくい。更には、農地を新しく必要とするならば、転作作物の指定を受ければ国から補助金が出るという話も飛び出し、向かうべき道への焦点が定まりませんでした。
そして、どちらにせよ、そのようなやり方で事業を進めるとなると、議会の議決をもらうまでに何年も掛かってしまいます。
岡本さんはこのような行政と民間の仕事の進め方の違いにギャップを感じ、「こんなんあかん!」と、第三セクターで進めることを諦め、自分でやろうと決意し、「NPO法人てっちりこ」を立ち上げたのだそうです。
寒ざらしを学ぶ
そして、岡本さんは地域の生産者の方々と話し合いながら、生産と販売のルートを確立していきます。
「NPO法人てっちりこ」の最初の商品は、「生の姫とうがらし」や「乾燥させた姫とうがらし」、「粉末にして一味にした姫とうがらし」という、ほとんど加工していないものだけでした。
少ない商品数のまま、まずは道の駅などで販売を開始しましたが、それだけでは特産品として確立するには至りません。今度は商品開発や販路開拓などが課題となります。
そこで、岡本さんは新潟の上越市で「かんずり」という唐辛子の発酵食品を作っているある企業に「寒ざらし」という技術を学ぶための講義を依頼したり、その他加工業を請け負ってもらう企業を開拓したりと活発に動きました。
唐辛子醤油が出来るまで
さて、ここで「寒ざらし」とはどのようなものなのか、「姫とうがらし」の栽培工程と「NPO法人てっちりこ」の商品・唐辛子醤油の製造工程をあわせてご紹介します。
・まず5月中旬に地域の生産者の方々に苗を購入してもらい、移植を開始します。
・収穫期は8月下旬~11月上旬までで、赤くなった順に実を採っていきます。(収穫期が集中しないので、生産者の方々の負担が少ないのだそう)
・収穫された「姫とうがらし」は順番に天日干しを行い、水分をもとの60%から10%以内に落とします。(要所要所で乾燥機も使用します)
・一味や七味に使用する「姫とうがらし」はこの段階で粉末工場へと運ばれていきますが、その他の「姫とうがらし」は水洗いをして塩漬けにします。
・その後、樽の中で3~4ヶ月の間、保管します。
・大寒のころに「寒ざらし」という雪の上に塩漬けにしていた唐辛子をさらす作業を行い、塩抜きをします。(雪の上にさらすことで唐辛子が柔らかくなるのだそうです)
・「寒ざらし」が終わると、塩抜きした唐辛子と地元産のコシヒカリで作った米麹を合わせてミンチにし、樽の中で3年間熟成発酵させて、それを濾したのもが唐辛子醤油となるのだそうです。