コロカ事業
岡山県・奥津の姫とうがらし
- 店舗レポート
これ売れるじゃろうか?
第三セクターの運営で地域活性を担うには、地域の資源を売っていくことしかない。そこで岡本さんは改めて地域を見つめ直し、今ある資源の調査を始めました。
蕎麦やわさびなど、もともと地域で栽培されている作物に目を向けると共に、奥津の高齢化の現状も考慮して高齢化社会でも適応可能な新しいビジネスモデルも作っていきたいと模索していったそうです。
そんな折、岡本さんの元に一人の農家の方が訪れ、ある作物の販売を提案しました。
「わしら昔からこげなもん作っとんのじゃけど、これ売れるじゃろうか?」
そのとき提案された作物が、「姫とうがらし」だったのです。
普通の唐辛子とは違う
なんでも、奥津地域では先祖代々、古くからこの唐辛子を自給のために栽培していたというのです。
面白そうだと思った岡本さんは、さっそく農地を見に行くのですが、そこで新たな発見をします。
鷹の爪とも言われる通常の唐辛子は上向きに実をつけるのですが、奥津の唐辛子は全部、下向きに実をつけていたのです。また、サイズも大きいものでは15cmほどになり、これは非常に変わった品種だと思った岡本さんは、専門家やマスコミを呼びその調査を進めました。
誰に聞いても解らない、どんなに調べても正体がつかめない状況が続いていく中で、人から人へと話しが伝わり、最終的に日本における唐辛子研究の第一人者でもある信州大学農学部の松島憲一准教授にたどり着きました。
日本古来の品種
松島准教授も初めて見る唐辛子であったため、その時点で品種特定ができません。
非常に興味深く感じた松島准教授は、岡本さんと連絡を取り合いながら奥津の唐辛子について研究を進めました。
そして、様々な研究を重ねた結果、行き着いた答えが「日本古来の品種」だったのです。
唐辛子はもともと他国から伝来した食物だとされていましたが、この奥津で発見された唐辛子は、他国から伝来し現在日本で作られているどの唐辛子ともDNAが一致しなかったため、「日本古来の品種」といっても過言ではないという判断に至りました。
奥津の唐辛子は通常の唐辛子よりも、ジヒドロカプサイシンと呼ばれる成分が多く含まれ、遅れて訪れる辛さと体内吸収力の高さが特徴なのだそうです。
「これは凄い品種ですよ、是非伝承したらどうでしょうか?」
松島准教授に言われた岡本さんは、この唐辛子を「姫とうがらし」と名付け、町の特産品にしようと考え始めたのです。