コロカ事業

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滋賀県・一湖房の合鴨ロース

 

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豊臣秀吉の城下町、長浜

JR東海道・山陽新幹線を使って、品川駅から米原駅までおよそ2時間(「こだま」だと3時間かかってしまいます。「ひかり」を使うか、「のぞみ」から乗り換えましょう)。そこから北陸本線に乗り換えて、琵琶湖沿いに10分ほど電車に揺られれば、長浜駅です。

滋賀県北東部の湖北地方に位置する長浜市は、豊臣秀吉が居城としてはじめて築いた「長浜城」の城下町として有名です。

歴史的建造物が並び、買い物客でにぎわう大手門通りから、博物館通りへと歩いたところに、一湖房の店舗はありました。駅からの所要時間は、およそ15分です。

 

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琵琶湖が生んだ鴨料理の文化

コロカの対象である一湖房の名品は「鴨ロース」ですが、もともと琵琶湖周辺には、鴨料理の文化が根付いていました。

渡り鳥の越冬地である琵琶湖には、冬になるとたくさんのマガモたちがやってきます。湖で漁をしていると、漁網にこの鴨が引っ掛かり、獲れることがありました。漁師がその鴨を集めて、冬の食材としたのが、鴨料理のはじまりだそうです。そのため、面白いことに、琵琶湖周辺では、魚屋で鴨が売られていたとか。

鴨ロースは、天然鴨よりも養殖鴨の方が美味しく作れるそうで、一湖房は、京都から特別な養殖されたアイガモを仕入れています(ちなみに、野生の鴨をホンガモ、人に育てられた鴨をアイガモというそうです)。

何が特別な養殖かというと、その徹底した衛生管理にあります。藁や水を頻繁に交換し、清潔に保った場所で育てられた鴨たちは、まるで白鳥のよう。ただし、その姿はモニターごしにしか見ることができません。病気を媒介するおそれのあるため、人の立入が厳しく制限されているのです。その甲斐あって、鴨肉は生でも食べられるほどです。

 

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一枚、一枚、丁寧に調理

「鴨ロース」ができあがるまでの流れを紹介しましょう。まずは、骨や内臓を取り除いた鴨肉から、脂のキツイ皮を削ぎ、血合いを取り除き、ピンセットを使って、毛穴に残った毛を一本一本抜いていきます。

そして、火入れがしやすいように皮を切り、穴を開け、焼いていきます。

あまり時間をかけて焼くと肉が硬くなってしまいます。旨みだけを残すため、小さなフライパンを使って、火加減の違うコンロへ、さっさっさっ、と移し替えていきます。

鴨肉は脂がくどく、酸化すると味が落ちます。また、皮にくさみがあるため、焼いてそれらを落とすのが目的です。最後は日本酒でフランベ。赤く炎が燃え上がり、焼き色のついた鴨肉は、もうそれだけで美味しそうです。

「いっぺんに焼いた方が、効率は良いんでしょうけど、うちではこうしています。形が違いますからね」

一湖房の専務である川瀬裕正さんは、その言葉通り、素早くフライパンを捌きながら、焼き加減を一枚一枚確かめて、火通しを微妙に調整していました。

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