コロカ事業

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滋賀県・一湖房の合鴨ロース


 

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すべては鴨の味を引き立たせるため

火を通した鴨肉は、まずは1時間から2時間ほど、特製のだし醤油に漬けこみます。煮るのは、その後。温度管理を工夫することで、ダシがきゅっとしみ込むのです。

「鴨肉は無駄な脂やアクを取り除くと、とても繊細な味になります。どんなに有名な昆布・醤油・鰹節をつかっても、鴨の味を殺してしまっては意味がありません。味のバランスにはとても気を使っています」と川瀬さんは言います。

防腐剤なども味に出てしまうそうで、ダシ醤油に、添加物は一切使われていません。

鴨ロースを煮る場面にも立ち会いましたが、その時間は、意外なほど短く感じました。鴨肉を〈生かす〉ために、火を使うのは最低限に押さえているそうです。まさにすべての調理工程が、鴨を引き立てるためにこだわりぬかれているのです。

 

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家庭の味から生まれた一湖房の歴史

意外なことに、一湖房の前身は呉服商でした。30年前までは、京都や東京などに行き、反物を売っていたのです。このとき、川瀬さんの祖母が家庭で作っていた「小鮎の佃煮」を、手土産として持参していました。これが先方に喜ばれ、評判となり、新たな商売を始めるきっかけとなったのです。

それまでに包丁を握ったこともなかった、当時25歳の川瀬さんは、叔父の野中さんとともに「一湖房」を立ち上げます。

小鮎からはじまった一湖房が、現在のヒット商品である「鴨ロース」を作ることになるきっかけは、小鮎がシーズンオフとなる冬季の新商品開発でした。

先にも述べたように、長浜では鴨料理が盛んで、11月になると、地元の料理屋はどこも鴨鍋屋になるほどです。できるだけこの地域にある食材を選びたいという想いから、鴨を使った商品づくりをはじめます。

川瀬さんは天然鴨専門の料理店で鴨の扱い方を修行し、味噌漬けなどの商品を試すなど、6、7年かかって、鴨ロースに辿り着きました。

(※なお、現在も鮎の商品はありますが、こちらはコロカの対象外です)

 

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鴨ロースは絶妙な味のバランスの結晶

さあ、いよいよ鴨ロースを味わいましょう。

焼き色のついた鴨肉の表面からは、素朴な醤油だれのまるい味が舌にしみ込んできます。肉の中心はピンク色で、鴨肉のジューシーな旨みを直接味わえます。そのフレッシュな感覚は、「お刺身」に近いようにも感じました。もちろん、くさみはちっともありません。

そのまま食べても美味しい鴨ロースですが、ゆず胡椒などを加えると、また違った表情が楽しめます。現在は変わりダレとして、フランス料理でよく使われる「オレンジソース」を開発中だそうです。絶妙な味に仕上げるため、バランスを取るのが大変だそうですが、また違う味が生まれるのが楽しみですね。

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