コロカ事業

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茨城・結城紬

 

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布の王様、"絹"

着物の素材として有名な"つむぎ"。繭(まゆ)から採れる絹糸でつくる絹織物のことですが、通常の生糸と違って真綿(まわた)からつむいだ糸を使うため、糸の太さが不揃いで織り上げた布にもふんわりとした手しごとの風合いが残ります。

一見、木綿のような素朴さですが、そこはやはり布の王様、"絹"。使いこむごとにつやが出て柔らかくなり、とても上品。江戸時代の裕福な商人は、一度自分のつむぎを番頭に着せて柔らかくこなれたところで自分が着たとも言われます。

今も日本各地に残る"つむぎ"ですが、今回ご紹介する結城紬は、昔と変わらぬ製法でつくられる貴重な伝統工芸品。この結城で今もつむぎの製法を伝授し守り続けているのが、つむぎ問屋の「奥順」です。奥順の「つむぎの館」を訪ねました。

 

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「つむぎの館」へ

「つむぎの館」への最寄り駅は、JR水戸線の結城駅です。電車で東京方面から向かう場合は、宇都宮線直通の湘南新宿ラインで小山駅まで行き、水戸線に乗り換えて2つ目が結城駅。駅から「つむぎの館」までは、徒歩10分ほどです。

車でのアクセスは、東北自動車道の佐野・藤岡インターより国道50号に入って結城へ向かうか、常磐自動車道の谷和原インターより国道294号に入るルート、北関東自動車道の桜川・筑西インターより国道50号で結城へ向かうルート等があります。

駅から「つむぎの館」までの道には、和菓子屋やみそ屋などの古民家や蔵など、昔風の建物が数多く残っています。かつてこの地が城下町であり、宿場町であったことをうかがわせる街並みです。

 

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江戸の衣料を支える産地として

もともと結城や近隣の栃木県、群馬県は養蚕が盛んだった場所。庶民が農業を営む傍ら、自宅で蚕を飼って糸にしていました。結城紬の歴史はなんと2000年とも言われ、書物上は上代にさかのぼります。江戸時代に入って天領(幕府直轄の地)となった結城は、急激に人口が増える江戸の需要に対して繊維産業が活性化しました。また結城紬は、幕府への献上品でもありました。

布を運ぶのに大きな役割を果たしたのが、鬼怒川です。鉄道のない時代、川は大切な流通手段でした。結城の町近くの川港からは多くの物資が入り、ここからつむぎも江戸に運ばれたと言います。城下町だったこともあり、結城は沢山の商人で栄えていたのです。

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