コロカ事業

  1. 関東地方一覧

延楽梅花堂


 

163_baikado_04.jpg

幻の「杉田梅」との出会い

この100年以上前の梅干しが、まだお店に残っていました。一粒いただいて口に入れると、しょっぱくて酸っぱくて、100年以上前に漬けられたことを思うと、不思議な味がします。

梅干しを漬けるようになって数年たった頃、乗松さんは「杉田梅」に出会います。杉田梅は、「大梅」や「青梅」とも呼ばれる小田原地方の梅林でつくられる、粒が大きくて果肉が柔らかな梅。初めてこの梅を見た乗松さんは、その立派な実にすっかり心を奪われて、何年も小田原の梅林に通い続け、ようやくここの梅を使わせてもらえるようになったと言います。今も、乗松さんの手がける梅の品は、ほとんどがこの「杉田梅」によるものです。

「杉田梅」が幻の梅、と言われるほど希少なのは、クエン酸豊富で酸っぱくて大きいため次第に一般市場で人気がなくなり出荷されなくなったためです。乗松さんは一手にこの梅を買い支え、日本に伝承されて来た本来の梅を残したくて、苗木を多くの人にプレゼントするなど、使命感をもって保護に努めています。

 

163_baikado_05.jpg

梅干しのつくり方

また凄いのがこの乗松さんの梅干しのつくり方です。40年前に始めて以来、年々梅に憑りつかれるように、梅干しづくりにのめり込んでいき、今では梅干し以外にもジュースや梅酒、梅酢と、約5トンもの梅を加工しています。

梅が収穫できるのは大体梅雨明けの6月末頃。大量の梅をまず分別し、よく洗って塩に漬けます。これに、塩をよくもみ込み、アク抜きをした赤ジソと梅酢を入れると、アントシアニンの色素により、全体がぱぁっと見事な赤紫色に染まるのです。干すまで数週間、静かに寝かせます。

土用明けの、夏の太陽が照りつける日に、4~6日間、一日に何度も天地替えをしながら梅を干します。次第に梅は塩をふき、シワシワになっていきます。

この30年余り、梅を干す作業は北鎌倉の山林で行っているのだそうです。

 

163_baikado_06.jpg

梅は体にいい、は本当?

こうして太陽の光をたくさん浴びてできる梅干し。漠然と梅は体にいいもの、と思っていましたが、乗松さんの話によると、疲労回復や整腸作用などさまざまな効果があるのだとか。

お店にはたくさんの梅の品があるので、どれを手にしたらいいか迷いますが、初めてのお客さまには梅ジュース、梅ジュースで煮たドライフルーツ、梅酢がお勧めだそうです。お値段も手頃でさまざまな用途に使いやすいかもしれません。私からは、最近ほかでは手に入らない存在感満点の梅干しがお勧め。肉厚で色がとても奇麗。もちろん着色料などではなく、すべて天然のシソの葉で色づいた鮮やかな赤です。

share
  • Facebook
  • X