コロカ事業
延楽梅花堂
- 店舗レポート
梅おばさんに会いに行く
最近お店でよく見かける梅干しは、淡い色の小粒で、減塩やハチミツ味など、甘めのものが多いことにお気付きですか?でも、ひと昔前におばあちゃんが漬けていた梅干しは、もっとぽってりと大きくて色も濃く、酸っぱいものではなかったでしょうか。
一粒つまむと思わず口をすぼめてしまうほどに酸っぱくて塩が効いた梅干し。これぞ梅干しの原点と、昔ながらの手法で梅を加工し続けている方がいます。「梅おばさん」こと乗松祥子さん。
乗松さんは、もう40年以上、梅干しや梅酢、ドリンクなどさまざまな梅の加工品をつくってきました。毎年梅を洗って干し、漬けての繰り返し。そんな乗松さんの梅の専門店「延楽梅花堂」にお邪魔してきました。
梅づくしの店内
乗松さんのお店は、板橋区役所前駅から歩いて5分ほどの住宅街の中にあります。板橋区役所前駅は、JRの板橋駅から新板橋駅で都営三田線に乗りかえて一駅目。A2出口を出ると、旧中山道(国道17号線)を横切って王子新道をまっすぐに進みます。
左手に読売新聞が見えたら左に折れ、さらに歩くこと2~3分。坂を下りきった辺りに「延楽梅花堂」の看板が見えてくるでしょう。
一見普通の家にも見えるので、初めての方は扉を開けるのに少し勇気がいるかもしれません。重めの戸を開けると、ぼんやり薄暗い店内の入口脇に、鮮やかな色の梅が入った瓶が目に入ります。梅干し、梅ジュース、梅肉エキス、梅酒と梅づくし。店の奥には、お客さんがゆっくりとくつろげるサロンのようなスペースが広がっていました。
100年以上生き続けた梅
いよいよ梅おばさん、乗松さんとのご対面です。小柄で、つやつやとした肌の乗松さんはとても若々しく、今でも毎年5トンもの梅を加工する体力の持ち主。小さな体にぎゅっとエネルギーを秘めた印象が、梅の実そのもののような方です。
梅に関わる仕事を始めたのは40年ほど前のこと。当時、銀座の料亭「辻留」で働いていた乗松さんは、ここである梅干しと出会います。
「ほこりをかぶった古い壺に、カラカラに干からびた梅干しが入っているのを見つけたんです。100年以上前に漬けられたものと聞いて梅酢に浸してみると、数ヶ月間でふっくらと元に戻っていたのです。こんなに長い年月、ずっとこの梅は生きていたんだな、と思いました。」
そんな梅のもつパワーに驚き、乗松さんはそれ以来毎年欠かさず梅を漬けるようになります。