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宮城県・きちみ製麺の白石温麺(うーめん)

 

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【蔵王連峰のふもと】

東京から東北新幹線に乗り込み、冬の東北に向かいます。この日の東北地方は早朝から大雪で、車窓越しに白く激しく吹きすさぶ雪の様子を見るやブルッと身震い。早くも寒さを覚悟します。
しかし一転、目的地に到着するとすでに雪もやみ、太陽がまぶしく降り注ぐ穏やかな冬の明るさに、心もほっこり和みます。キリっと澄んだ美味しい空気を胸いっぱいに吸いこみ、いざ目的地へ。
ここは宮城県の最南端、蔵王連峰のふもとに位置する白石市。特産品の「白石うーめん」を作りつづける、きちみ製麺さんを訪ねました。

 

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【温かい心を讃えたうーめん】

出迎えていただいたのは、明治30年のきちみ製麺創業から数えて3代目の社長をつとめられている吉見光宣(きちみ みつのり)さん。
「うーめんは漢字だと”温麺”と書くんですが、これは子供が親を想う温かい心を讃えて名付けられたんですよ。」吉見社長が、白石うーめんの由来と歴史について教えてくださいました。
約400年前、味右衛門という若者が胃病を患った父親のため、旅の僧に習った油を使わず小麦粉と塩水だけを原料とする胃にやさしい麺を苦労して作り食べさせたところ、その病が治ったそうです。この孝行話が、伊達政宗の右腕として名を馳せた白石城主・片倉小十郎に伝わり、温かい心を讃えて「温麺(うーめん)」と名付けられました。
この日は、実際にきちみ製麺さんの麺を使っている飲食店に行き、現地で白石うーめんをいただいてみました。

 

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【白石で食す、きちみの「うーめん」】

うーめんの特徴は、天然の原料しか使わないことや、普通の麺よりも短い10cm程度の長さにあります。
「私どもでは、食べやすさを追求した結果9cmにしていますが、短い麺のメリットって実は多いんですよ。」吉見社長によると、調理の際にも早くゆであがり、食べる時にもつゆがハネたりもせずに済むのだそうです。さらに、通常の長さの麺では感じとることができない醍醐味もあるとのこと。
目の前に運ばれてきたうーめんは、ほのかにダシの琥珀色に染まってつやつやしています。現地のひんやりした空気の下、つゆの湯気が肌を優しく潤してくれて辺りに漂う鰹ベースの香りが鼻腔をくすぐり食欲を誘います。
さて、肝心の麺ですが、長さが短いおかげで、お箸の上で滑り落ちることもなく、とても持ち上げやすく感じます。そして箸を口元に近づけ、麺を一気に吸い込んだ時でした。自分の動きが自然と止まってしまったのがわかります。

 

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【指で味わいを楽しむ】

「いいでしょ?」そう言って、吉見社長は嬉しそうに微笑みます。
唇をつるっと通り抜け、途中で噛むことなく麺が一瞬で口の中に収まる爽快感は、何度でも試したくなる気持ち良さです。さらに箸を通して麺が通過していく際の手ざわりは、指でも麺を楽しめるという、普通の長さの麺を食べる時には感じたことのないものでした。
また、私たち日本人が大好きな、もっちりとしたコシと歯ごたえが楽しめて、最後は喉をスーっと心地良く抜けていってくれます。食べ終えた後も胃にもたれることないため、400年前とされる創始の歴史に素直に納得しつつ、スッキリとした満足感に浸ることができました。

 

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【きちみのこだわり】

「私たちが自信をもって商品を薦められるのは、やっぱり安全な食品だからなんですよね。」吉見社長は誇らしげにおっしゃいます。
元々うーめんの原料は小麦粉と塩水だけで、無添加にて製造されます。このことから、白石では多くの家庭で離乳食としても食べられているそうです。お母さんが赤ちゃんと一緒に安心して食べられるものでなければならないことを、この地で生まれ育った吉見社長も知っているため、きちみ製麺も原材料にはこだわり、地元蔵王の山間では、農家の方と小麦の契約栽培などにも注力しています。


そんなきちみ製麺のうーめんが、どのような工程を経て製造しているのかを見学させていただきました。

 

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