『Brilliantcrypto』クリエイターにインタビュー!
新技術を扱うゲームの開発現場について!
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テクノロジー推進本部 横断アート部 第3グループ
3DアーティストY.U.
2018年にコロプラへ中途入社。『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』で3D背景を担当した後、様々なプロジェクトに携わる。『Brilliantcrypto』に3Dアーティストとして参加する傍ら、新規プロジェクトにも関わっている。
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テクノロジー推進本部 第2技術開発部 第3グループ
クライアントエンジニアN.Y.
2014年にコロプラへ新卒入社。海外タイトルも参加経験があり、『Brilliantcrypto』では立ち上げ時のシステム構築からグラフィックスや最適化などを担当する。
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テクノロジー推進本部 第2技術開発部 第3グループ
マネージャー補佐 クライアントエンジニアY.T.
2019年にコロプラへ新卒入社。運用タイトルに2年、新規プロジェクトに1年半関わった後、現在は『Brilliantcrypto』で自動生成システムなどを担当。
ここまでのキャリア、自己紹介をお願いします。
Y.U. 3DアーティストのY.U.です。2018年にコロプラへ中途入社し、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』にて3D背景を担当しました。その後、様々なプロジェクトに携わり、現在は『Brilliantcrypto』と新規プロジェクトに参加しています。
N.Y. クライアントエンジニアのN.Y.です。2014年に新卒入社して、今年で11年目になります。入社後は配属先で開発を学び、その後海外に行って開発に携わった後、新規プロジェクトにも参加しました。
『Brilliantcrypto』はプロジェクト立ち上げ時にシステムを構築したほか、最近ではグラフィックスや最適化周りを担当しました。
Y.T. クライアントエンジニアのY.T.です。2019年に新卒入社して、クライアントエンジニアとして2年半ゲーム開発に携わり、未発表の新規プロジェクトに1年半ほど関わりました。
現在は『Brilliantcrypto』に移ってから2年ほどになりまして、鉱山のステージ自動生成やプレイヤー周りの機能実装などを担当しました。
『Brilliantcrypto』の制作過程で印象に残ったことはありますか?
N.Y. 本作の核となる「鉱山」をどう作るか。どうやってちゃんとした山にするかというところが一番印象に残っています。
最初は山の構築に関して右も左もわからない状態だったので、試行錯誤をしていい案を作ったとしても、負荷が問題になるケースが多かったですね。そこから検討を重ね、ようやく完成したものをチェックしてもらい、「これでいいね」となった時はすごく達成感がありました。
Y.U. 私が本作にアサインされたときは鉱山を自動生成するという仕組みがある程度出来上がっていて、その山に合う「地層のマテリアル」を作りました。掘ったときに削れる範囲や、崩れて落ちていく破片の消え方などの要望をN.Y.さんにひたすら出し、今の体験を作り上げていきました。
Y.T. 私はキャラクター周りの操作をはじめに担当したのですが、宝石を見つけ出す探知機の仕組みに悩みました。便利すぎてもゲーム体験が崩れてしまいますし、逆に不便すぎても面白くない。いかにヒントを読み取れるようにしてバランスを整えるか、という点をディレクターと試行錯誤しました。
最終的に自分が提案した形で進めることになったのが、序盤ながらすごく印象に残っている出来事です。
「採掘」体験のリアルさを重視している印象を受けたのですが、どのような試行錯誤がありましたか?
Y.U. グラフィック面ですが、ライティングは本当に苦労しました。本作は採掘によって地形や衝突判定が動的に変化するので、ポストプロセスやライティングを固定するのが難しいんです。従来のやり方では通用しなかったため、N.Y.さんと相談しつつ、鉱山の外側を壊したときに入ってくる光の距離のグラデーションや、鉱山の中の陰の濃さなど、違和感がなくなるまで試行錯誤して今に至ります。
「採掘」というテーマは見方によっては地味な印象があるのですが、ゲームとしての中毒性や爽快感を出すために工夫されたところはあるのでしょうか。
N.Y. 掘り続けていても飽きないようにすることが重要でした。掘っているときに同じ音ばかりにならないように感触の変化だったり、手応えが感じられる音に聞こえるようにするといったりと工夫をしています。
Y.U. むしろ「繰り返しが快感」であるということをメインとしているので、掘ったときに出るエフェクトなどが、うまくハマっているかは力を入れて検証しながら開発を進めました。
なるほど......では、飽きずに楽しませる過程で苦労した点などはありますか?
Y.T. 本作は「リアルだけどリアルじゃない」んですよ。実際はツルハシで岩を叩いてもあんなにきれいに粉々にはならないでしょうから(笑)。
ただ、やはりリアルな採掘体験は楽しさにもつながるので、岩の破片を出したり、その破片が転がってさらに割れたり、といったリアルに寄せた挙動を考えてみたりしました。
N.Y. どうやって破片をうまく作るかにも苦労しましたよね。破片が大きかったり、数が多かったりすると負荷が重くなってしまうので、適切なバランスを取らなければなりませんでした。
宝石周りのゲーム体験でこだわったところを教えてください。
Y.U. 本作には「青い鉱石」と呼ばれるアイテムがあります。
コアアクションの「山を掘る」というゲーム体験から、青い鉱石などのアイテムが出現することで採掘を「飽きずに楽しめる」ように用意したものになります。
また、青い鉱石は山を掘るとは異なる破壊体験を提供したいと考え、青い鉱石から原石や輝石を生み出す「研磨」で、いかにきれいに削れるか、モデリングの段階から研究を重ねました。
あとは青い鉱石から原石や輝石を手に入れて宝石になるまでのワクワク感もユーザーさまに楽しんでほしいですね!
宝石の見た目に関してはいかがでしょう。
N.Y. もちろん、こだわりました。当初利用していた宝石Shaderが本物の宝石みたいに見えないという問題があり、より本物に近い見た目を実現するのに2ヶ月ほどかけました 光の屈折率は宝石ごとに異なっているので、そういった調整をY.U.さんに細やかに調整していただきました。
Y.U. 既存のシェーダーはある程度機能が揃っていたので、必要な機能をピックアップしました。ただ、初期に使っていたシェーダーは作りが限定的で、宝石ごとにシェーダーの種類を増やす必要が発生しました。
そうなると、種類が増えたときに管理が難しくなりますし、カラーやグラデーション、クオリティや透明度なども設定する必要があります。そこで、N.Y.さんに少ないパラメーターで一括管理・調整できるような仕組みを作っていただきました。
私は他にも演出周りとアセット作成を担当していました。
開発当初、「宝石をなでる」演出がほしいというアイデアが出てきました。手に入れた宝石をジュエリートレイに乗せて転がしたり、ジュエリーピンセットで宝石を掴んで詳細に眺めるといった演出なのですが。このシーンは異なる仕様演出が沢山組み込まれており、シームレスにカメラが動くトラッキングショットが多く、まずカメラ酔いをしない動きの調整を頻繁におこなっていました。
また、宝石以外の情報をなるべく隠す効果と宝石を綺麗に見せる為のライティングに気を使いました。ライティング効果には、演劇舞台のスポットライトや宝石鑑定で用いられるライトの種類を参考にしたりしました。
「ブロックチェーンゲーム」ということで、宝石には実際のお金に通ずる価値が付くと思います。これまでのゲームにはない部分だと思うのですが、そこに対してはどう感じましたか。
N.Y. 自分たちが頑張って作った鉱山、宝石に価値を感じてくれて、売買してもらえるのはやはり嬉しいですね。
Y.T. 私は時間をかけて鉱山をクリアできるように設計した身なので、そこを不便なくプレイしていただいて、そこから宝石に価値が付いていると思うと、コミットできたと感じます。
鉱山の地形を自動生成するロジックはどのように突き詰めていったのでしょうか。
Y.T. 開発初期の頃はいろいろな硬さの地層があるというだけで、ゲーム性に乏しい点がありました。なので、まずは掘りやすい場所をどんどん掘り進めていけるような構造を目指しました。
そのうえで、具体的なアプローチをしてみる前にエンジニア内で仕様のコンペを行い、みんなの考えた仕様を順番に実装して見るところから始めました。
お三方ともブロックチェーンゲームに携わるのは初めてとお聞きしておりますが、普通のゲームを開発するときとの違いや苦労したところはありますか?
Y.T. 我々開発チームの仕事としては、ブロックチェーンゲームという大きなプロジェクトの中にある遊びの部分をしっかり作り上げることだったので、「ブロックチェーンゲームだから」という特有の戸惑いなどはありませんでした。
N.Y. 実際のゲーム体験としても普通のゲームとあまり変わらず、プレイ中に何かお金になるものが手に入るというところが違いです。開発としても特別な意識などはなく、シンプルに「ゲームをいかに楽しくするか」という方面に注力できました。
お話を聞いていると、エンジニアさんやデザイナーさんが主となって作り上げている作品なのかなという印象を受けます。
N.Y. そうですね、先にエンジニア側で土台を築いた後、デザイナーさんに調整してもらうというプロセスで作ることが多かったです。
Y.T. 現場を指揮するディレクターはいてゲームの目指す方向性はディレクターが決めているのですが、それを実際にどう達成していくかはデザイナーとエンジニアが中心となって試行錯誤しながら開発を進めました。
リリース後、ユーザーさまの反応を見て上手くいったと感じた部分はありますか。
N.Y. SNSでユーザーさまに「宝石が綺麗」「もくもくと掘っていたくなる」といった反応をいただけたときは、すごく頑張った甲斐がありましたね。宝石を綺麗に見せるのはすごく頑張りましたし、ゲームプレイとしても緩衝材シートの気泡をプチッと潰すような手遊び感を味わってもらえたのではないでしょうか。
本作は作業っぽさがあるゲームで、ある程度したら少し飽きてしまうかもしれません。でも、ちょっとしたらまた遊んでしまう。そんなコンセプト通りに遊んでいただけるユーザーさまが多く、そこは上手くいったと感じています。
Y.T. 初期にこだわった部分がリリースしてからも活きていますよね。
コロプラ全体の開発環境をお聞きしたいのですが、技術を活かしたい人にとってコロプラはどんな環境だと思いますか。
N.Y. 「こんなものを作って」と上司から言われることが多いのですが、その目的に向かって自分たちでどういった技術を使うのかを提案できます。もちろんすべてが採用されるわけではありませんが、一部の機能だけだとしても自分の技術を好きに選定できる環境です。
Y.T. 逆もありますよね。「こういう技術があるんだけど......」と提案されたら、自分から「これなら、面白いことができますよ」と提案したり。
N.Y. 自分は時間が余ったら、役に立つツールを勝手に作って提案しちゃうんですよね。『Brilliantcrypto』のとある機能も作業に余裕ができたから作ってみたのですが、それが採用される経験もありました。
その後少し問題が起きて作り直すところもあったのですが、すごく良い経験になったと思います。
いい提案、モノを考えられる環境、提案できるコミュニケーションが整っている。それを採用する土壌、空気感がある面白い会社ですね。
中途入社の方でも開発チームの輪に入りやすい環境なのでしょうか。
Y.U. 新卒か中途かはあまり関係なく、新しいものをみんなで作り上げるという文化が社内ですでに出来上がっています。
クオリティを高めるために最新技術が必要なケースもありますが、そうしたアイデアも丁寧に提案すれば通りやすい環境です。
N.Y. 新しい事に対しても、できないからやらせないというのは見かけないですよね。その人がしっかり考えを持ってやりたければことならば、他の方もサポートしてくれます。社内には技術サポートの特別チームもあるので、連携することで精度は高められますし、思っていることはバンバンアピールできます。
自分も本作に関わるまではグラフィックに関してほぼ触ったことがなかったんですが、「やらせてください」と申し出ました。宝石に関する作業は2ヶ月ほどかかりましたが、「できるまで頑張ろう」と応援していただき、自分自身でも成長を実感できた部分もあります。
『Brilliantcrypto』含めコロプラには挑戦的なゲームが多いと思います。コロプラのゲームクリエイターに求められることは何だと思いますか。
N.Y. コロプラには自由にプロジェクトに対して提案でき、そんな人が評価される土壌があります。
なので受け身がちな人よりかは、自分で新しいことを発案する意欲がある方が向いていると思います。
Y.U. "作業者"にならず、自分から新しい技術を学んでいくのはまず大事です。周りに相談できる環境も整っているので、うまく仲間と共有しつつゲーム作りができる環境がコロプラにはあります。
Y.T. コロプラの社風として、「え、そんなことするの!?」と驚くような企画がよく立ち上がります。『Brilliantcrypto』のブロックチェーンはその最たるものですし、AIを活用したプロジェクトもあります。過去にはライブ配信と組み合わせた作品もありました。
そもそも、コロプラのルーツである『コロニーな生活』も、位置情報を利用したパイオニア的タイトルですからね。びっくりするような企画に対してワクワクできる方は、すごく向いているはずですよ。
では、コロプラへの就職を志している方に向けてメッセージをお願いします。
Y.T. コロプラは斬新な企画が多いので、良い意味で荒波を航海する船のような感じがあります(笑)。そういった状況でも、新しい挑戦に対してポジティブになれる人とお仕事させていただきたいです。
Y.U. 作っていく上での試行錯誤をポジティブに捉えられる人であれば、やりたいことができる環境です。「自分の持つ技術やアイデアで人を楽しませたい!」という志を持つ方や、ユーザーさまから良い反響があったときに一緒に喜び合えるような方と、ご一緒したいです。
N.Y. 私はプロジェクトに新しい風を吹き込める人と一緒に働きたいです。そのプロジェクトにないものを持った人が入ると、やはり新しい知見が増えて自分自身も成長できるんです。そうした自分の中の引き出しが多い人はすごくありがたい存在ですね。