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ウィズ
ここは、あの異界……にゃ?
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ウィズが自信なさげなのも無理はない。
君も違和感を抱いた。なんとも形容しがたい奇抜な街並みは、あの異界のものだ。しかしどこか雰囲気が違う。
以前訪れたときは、フィーンドという怪物こそ出現するものの、都市は整備され、洗練された高度文明の片鱗が見て取れた。
しかし今目の前に広がるこの街は、どことなく粗野で猥雑な印象がある。 -
ウィズ
わかったにゃ!ここは前に来たシェルとは別のシェルにゃ。
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シェルアークと呼ばれる都市は、かつて地表の結晶化という大災害が起きた際に人々が避難したシェルターを基にして作られたのだという。
そんなシェルアークが、この異界には点在していると聞いた。
トルリッカとウィリトナの街並みが違うように、シェルによっても街並みは違うのだろう。
さて、これからどうすべきか。君が思案していると―― -
???
邪魔っ!
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鋭く責め立てるような声音と共に、少女がぶつかってきた。
君と少女はもつれあうようにして転ぶ。
すいません、と君は頭を下げた。
少女は値踏みするように君のことをじろじろと見る。 -
???
お前、ヨソモンか?妙な格好して、ぼーっと突っ立って。
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ウィズ
ちょうど困ってたにゃ。助けてくれるにゃ?
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???
しゃべる猫……珍しいドローン連れてるな。
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ドローンじゃなくて本物の猫だよと君は言う。
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ウィズ
……本物の猫と言われると、どうも引っかかるにゃ。
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君とウィズのやりとりを、少女は怪訝そうに見つめている。
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???
なにからなにまで変なやつらだな……。
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???
ぼーっとしてると危ない。物だけで済むと思うな。命持ってかれるぞ。
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少女は吐き捨てるように言って、走り去っていった。
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ウィズ
よくわからない女の子にゃ……。
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荒っぽい言動だったが、危なっかしい余所者を放っておけず、忠告してくれたのかもしれない。
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ウィズ
キミ、ディライバーは持ってきたにゃ?とりあえずグリットたちと連絡をとるにゃ。
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君は鞄からディライバーを取り出そうとするが……ない。
光に飲まれる前、咄嗟にディライバーを鞄に詰め込んだはずだ。 -
ウィズ
……もしかして、さっきの子にゃ?ディライバーを盗られたにゃ!
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ウィズは毛を逆立てて感情をあらわにするが、すぐに深い息を吐いた。
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ウィズ
まあ、いきなりフィーンドとの戦いに巻き込まれた前回に比べたらマシにゃ。冷静にいくにゃ。
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肝が据わっている。やはり師匠はすごいと君は改めて尊敬の念を抱いた。
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《続きは「響命クロスディライブ ACT2」本編にてお楽しみください》