コロカ事業
福岡・久留米のからくり織
- 店舗レポート
地場産業をもとに
久留米織りや久留米絣は、ここの地場産業で、糸を染める作業から地元で行われていました。糸を染める、布を織る、縫製するというそれぞれの専門性をもつ業社が、つい数十年前まで何軒もあったのだそうです。ところが昔は20軒以上あったという縫製業社も、今はロォーリング以外はあまり聞かなくなったと言います。
「久留米絣の伝統を残すことも大切ですが、今の時代、ただメイドインジャパンというだけでは生き残れません。オリジナルの商品で付加価値をつけていかなければ、大量生産の海外産のものには勝てません」と、實藤さん。
どんなに質のよいものをつくっても、安価なものと一見変わらなければ、安い方が選ばれてしまう。そこで、素材から工夫をして、一目見ただけで質の違うオリジナルのものをつくろうとしたのが、からくり織りの始まりなのだそうです。
木綿の強さを生かして
いくら新しいものをつくる、と言っても外せなかったのは、素材が木綿であることと、その強みを生かした、"何度洗っても丈夫"という性質です。そう聞くと、ジーンズのような硬い作業着を思い浮かべがちですが、木綿を使いながらも、絹のような着心地のよいやわらかさを求めました。
数年間の開発期間を経てできたのが、「からくり織り」。その秘訣は、糸にあります。通常、久留米織りは、木綿糸を縦糸と横糸で織り合わせていくのですが、「からくり織り」では極細の糸を4~5本撚り合わせて糸をつくり、少し空気を含ませながら織ることでふんわりとした肌触りを実現したのです。
デザイン賞を受賞
平成19年にはこの「からくり織り」が評価され、「福岡県産業デザイン奨励賞」を受賞しました。今、ロォーリングではこのからくり織りをつかった製品に力を入れています。
工房の2階には、實藤さんの奥さんをはじめ、縫製の女性スタッフの方々がミシンを走らせていました。布を開発するのに数年かかりましたが、今度はその布を生かしてどんな製品をつくるか?にも頭を悩ませたという實藤さん。
今はオシャレなスモックや、エプロン、ハンチング帽などをつくっていて、若い人にも人気のデザイン性の利いた商品をつくっています。