コロカ事業
福岡・久留米のからくり織
- 店舗レポート
「からくり織り」とは
絣(かすり)とは、布を織る技法のひとつで、糸から染める「先染め」の手法で織られた布のことです。今も残る日本三大絣には、久留米絣、伊予絣、備後絣があります。
なかでも福岡県南部の久留米地方で盛んになった久留米絣は、深い藍色に白い模様が美しい「藍染め」が特徴で、たいへん丈夫。作業着をつくる布としては最適ですが、素材が木綿であるため、どうしてもゴワゴワとした硬さがあります。
この久留米絣の技術を元に、やわらかくふんわりとした風合いの布を追求して開発されたのが、「からくり織り」です。作業着としてではなく、おしゃれ着やマフラー、ハッチングなど幅広い用途に使える、さわり心地のよい布ができました。この「からくり織り」をつくる合資会社ロォーリングを訪ねて、福岡県の三井郡大刀洗町へ向かいました。
のどかな田畑地域、大堰へ
大刀洗(たちあらい)町は、福岡県のなかでも南西部に位置します。久留米市の北東にある筑後川の流れる平野です。見渡す限り、のどかな田園風景が広がります。
最寄りの駅は西鉄甘木線の金島駅か、大堰駅。福岡方面から向かう場合は、福岡(天神)駅より、西鉄大牟田線で宮の陣まで下り、甘木線に乗り換えます。ただ、駅から歩くには目的地まで遠く、タクシーが常時居るわけではないためご注意を。
福岡空港からは、直接甘木まで高速バスで来るのが一番よいのだそうです。そこであれば、バスを降りる場所でタクシーが捕まります。
また、車の場合は、九州自動車道で南下し、大分自動車道に交わる鳥栖ジャンクションで大分方面へ。筑後小郡ICか甘木ICから約10分ほどです。
縫製工房ロォーリング
ロォーリングに到着すると、そこはまさに織物工房そのもの。建物の中へ入ると、ソファとちょっとした応接用のスペースがあり、その周りを囲むように昔ながらの機織り機や、試作品、布などが積まれています。
入り口の左手には布を裁断する作業場があり、ここがご主人、實藤(さねふじ)俊彦さんの仕事場です。實藤さんご本人が「からくり織り」の開発者。縫製屋に生まれ育ち、布に囲まれて育った實藤さんは、ものをつくることが大好きという職人であり、よくしゃべり周囲を笑わせるコミュニケーション能力抜群の、パワフルな方でもあります。
「うちの工房は少し場所がわかりづらいかもしれませんが、すぐ裏手が筑後川の「蛍の生息地」です。その看板も出ていますから、それを目指して来られるといいと思います」。