コロカ事業
沖縄・勝山シークヮーサー
- 店舗レポート
「1つたりとも見逃さない」
工場に届けられたシークワーサーは、いかにしてジュースになるのでしょうか。
まず「選別」です。人の目で一つ一つ見て、潰れたり虫が食ったりしているものを取り除いていきます。すでに農家が選別したものですが、ここでは再度チェックしているのです。山川さんは「ジュースは果実1つ1つから果汁を搾り集めたものです。1つでも良くないものが混じると、取り返しがつかなくなるのです」と言います。
選別された果実は専用の機械を通すことで、ブラシと水とで表面の土汚れを徹底的に落とします。そしてシークワーサーは、搾汁機にかけられます。同工場で使われているのは、1つの実を2度に分けて搾るタイプのもので、苦みの強い果汁とそのまま飲める果汁とを搾ることができます。同店ではこの2種類の果汁を使い分け、約30の商品を生み出しています。
ようやくたどり着いた逸品
この工場と店舗は、山川さんが地元農家の仲間たちと2003年に立ち上げたものです。「きっかけは、地元を活性化できないかと皆で話し合ったこと」なのだとか。山川さんたちは当初、サトウキビやパッションフルーツを栽培して売りだそうとしますが、うまく軌道にのりませんでした。
そんなとき、仲間の一人がシークワーサーを育て、販売することを提案します。勝山ではごく一般的に見かけるシークワーサーが売り物になるとは、その時まで誰も思いつかなかったと山川さんは当時を振り返ります。
折しも世間はシークワーサーの美味しさと、果実に含まれるノビレチンという成分に注目が集まっていたさなか。山川さんらが売り出した勝山シークヮーサーのジュースは、瞬く間に全国各地から注文の入る逸品となります。
「農家に詰め寄ったこともある」
しかし、その道のりは決して平坦ではなかったと山川さんは言います。
当初は契約農家から届けられるシークワーサーに、傷んでいるものが多くあったと言います。「良い物だけを使いたいという我々の想いを、なかなか理解していただけなかった」と山川さん。「傷んだシークワーサーを農家さんのところへ持っていって、『この実が美味しそうに見えるんですか?』と問いただしたこともあった」そうです。
また、世間がシークワーサーブームに沸いたときは価格が高騰。せっかくの契約農家が、何軒も大手メーカーへ流れてしまったことがあったと言います。さらに、別の柑橘類であるにも関わらず、「シークワーサー」として販売する便乗店が登場したため、シークワーサーのイメージは大きく損なわれる結果となりました。