コロカ事業

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高知のアイスクリン


 

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山間の道路で「やりゆうょ」

高知アイスの売店は、バスを降りて来た道を30mほど戻ると、道路沿いに見えます。「高知アイス」の黄色いロゴと「高知アイス売店」の看板、そして白地に赤く「やりゆうょ」と書かれたのれんが目印です。「やりゆうょ」は土佐弁で、「やっています(営業中です)」という意味だそうです。

店内では、高知アイスの主力商品であるカップ入りの「アイスクリン」のほか、ソフトクリームやドリンクなどが販売されており、扉や壁には個性的な絵や文字の躍る書画がいくつも飾られています。

「それらは全部、私が描いたものなんですよ」。

ふり返ると、大きな体の男性がニコニコと笑っています。この方こそ、有限会社高知アイスの代表取締役・浜町文也さんです。

 

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店主はガハハと笑う元漁師

店内のカフェスペースでアイスクリンを食べつつ、さっそく浜町さんにお話をうかがいます。窓からは、エメラルドグリーンに輝く仁淀川の流れが見えます。

浜町さんは、元漁師という異色の経歴をお持ちの方。いかにも土佐出身者らしく、カツオを穫っていたといいます。幼い頃から港町で育っただけあり、たたずまいは豪放磊落(ごうほうらいらく)そのもの。今でも何かを話すときは、語尾に「ガハハハ」という笑い声がついてきます。

そんな浜町さんは、漁師生活が6年を過ぎた頃に結婚。これを機に海から陸へとあがり、会社員となります。勤め先はビデオ制作の会社です。この会社の社長がある時、食品事業への参入を決めます。そこで白羽の矢が立ったのが浜町さん。ここで昔から深い馴染みのある「アイスクリン」に再会することとなります。

 

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お客さんの声に突き動かされ

「高知のアイスクリンを持って、日本全国をまわりました」と、浜町さん。「当時はほとんど知られていなかったアイスクリンですが、高知県民にとってはソウルフードです。全国各地に暮らす高知出身者が、買ってくれました」と嬉しそうに話してくれました。

しかし、ビデオ制作会社が挑んだ食品事業は黒字化に至らず、撤退が決まり、その話を聞かされたとき浜町さんの頭をよぎったのは、「お前が来んと食べられんきね」......つまり「浜町さんが来ないと懐かしいアイスクリンを食べられない」という、県外で暮らすお客さんの声でした。

「ならば、自分がやらなければならない」と、浜町さんは「使命感のようなもの」に突き動かされ、独立・開業を決意したそうです。

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