コロカ事業
藤桃庵のジェラート
- 店舗レポート
籔本畑下農園
桃のほうも、ちょうど6〜7月が収穫時期で、直売所には立派な大粒がたくさん。ひとくち味見させていただくと、ジューシーで甘くて自然そのものを含んでいるような味がします。
もともと桃の栽培を始めたのは、周也さんの祖父でした。周也さんのお母さんは、2代目になるお父さんと結婚し、両家の名前を取り入れて「籔本畑下農園」と命名します。今は、周也さんと梓さんが引き継いでいますが、農業だけで生活していくのはなかなか難しく、お勤め仕事と兼業中。今は勤めを定年退職したお父さんとお母さんが中心になって、生産を進めています。
一家が、本格的に無肥料減農薬で桃を栽培しようと始めたのには、きっかけがありました。それは、完全な無肥料無農薬でリンゴの栽培に成功した木村秋則さん。ある時、木村さんがテレビ番組で取り上げられていたのを見て衝撃を受けたと言います。
『奇跡のリンゴ』との出会い
そんな方法で果実が育てられるのか。半信半疑だった梓さんたちの元へ、それから間もなく木村さんの本とリンゴジュースを持ったお客さんが現れて、こう言ったのだそうです。「この人と同じ方法で桃をつくってほしい」。
「始めは無理やろうって思ったけれど、その後いくつかの幸運が重なって、青森まで木村さんのリンゴ畑を見に行く機会に恵まれたんです。そのリンゴを食べた時の感想といったら!包丁がなかなか入らないくらい堅いけれど、濃密で味がしっかりしていて驚くほど美味しかった」と梓さん。
書籍になり、映画化もされた『奇跡のリンゴ』はご存知の方も多いでしょう。木村さんのリンゴのように、おいしい桃を無肥料無農薬でつくることはできないか。そこから籔本家の挑戦は始まり、毎年少しずつ農薬を減らしてきました。今では肥料は完全にやめ、農薬も9割を減らすところまで実現しています。
桃の栽培のこと
梓さんに代わって、お店から少し離れた場所にある農園に連れていってくれたのが、周也さんの又従兄弟にあたる籔本宗幹(むねき)さん。宗幹さんも、3年前から地元に戻って桃の栽培を始めた方。農地を周りながら、木の特徴や、無肥料に切り替えてからの変化など、細かく教えてくれました。
「桃の木にとって肥料を断たれることは、断食させられているのに近い状態です。そのなかで木もいろんな工夫をしています。普段より枝を短めに抑えたり、生存本能のために花を多く付けたり。そんな木の状態を知った上で、実をつけるなど木に負担がかかる時期に、負担を軽くするよう手をかけてあげることが大事なのかなと。3年目にして少しずつわかってきたところです」。
無肥料減農薬とはいえ、ただ自然に任せればよいわけではなく、人が美味しいと思えるものをつくっての農業。無肥料減農薬である分だけ手がかかります。