コロカ事業
越前・杉原商店の漆和紙
- 店舗レポート
和紙の新たな可能性
そして現在、国内を飛び越え海外からの注目を集めるようになった杉原商店。
そのきっかけとなったのは、2002年に参加したIPEC(アイペック)というインテリアの展示会だったそうです。
越前にはもともと大きな襖(ふすま)を作る紙漉き職人が多数存在していました。和紙の問屋として、取引先から日々様々な提案を受ける杉原さん。そんな中、襖の模様を今までよりもさらにデザイン的に、思考を凝らしたインテリアとして装飾をしてみないかと知人から提案されます。物ではなく空間として和紙を表現する。和紙独特の風合いを表現するには照明を利用したライトアップが効果的だと、知人のデザイナーから協力を得て展示ブースの設計と装飾を考えます。
言われるがままに、右も左もわからずに初めて出展した展示会で、他とは一線を画す独創的な空間を創り上げた杉原商店の越前和紙。
杉原さん自身も周りの反響を受け、和紙の新たな可能性を確信します。
漆和紙の誕生
さて、今回コロカのデザインにも盛り込まれている杉原商店の漆和紙(うるわし)について。
越前は和紙以外にも漆器工芸が盛んで、和紙の里から5kmほど北に移動すれば越前漆器の里も存在します。
和紙に漆を施し、耐水・耐久性を高め、より日用的に使えるようになった和紙の新しい形とも言える漆和紙は、越前という場所だからこそ誕生出来た物でした。
杉原さんは20年ほど前から、漆器製造を行う友人と「何か一緒にやりたいね」と話しながら、和紙に漆を塗り試行錯誤を繰り返していたそうなのです。
試作品が完成すると2002年のIPECにも出品。翌年のIPECでは家具の仕上げ素材として使用し更なる注目を集めたのでした。
好奇心が生み出す新しいカタチ
その後、杉原商店がプロデュースする数々の越前和紙作品は、国内を飛び越えフランス、イタリア、ドイツなど海外でも注目され、杉原さんは日本を代表する和紙プロデューサーとして認知されるようになります。昨年、日本橋高島屋に「日本のカタチ」として選ばれたのも、その結果なのでしょう。
「これまで、いろんな人と出会って、さまざまな意見を取り入れさせていただいてきました。出会った皆さんからいただく数々の要望に応えていく中で、徐々に注目され始めて今日に至ります」と、杉原さん。
特別なことは何もしてないような語り口でしたが、その好奇心こそが、これからの伝統工芸の発展には欠かせないのではないでしょうか?