コロカ事業
石川県能美市 「宮本酒造店」酒蔵を訪ねる
- 店舗レポート
試行錯誤の末の逸品
「すべてが初めての経験で、試行錯誤の連続でした。」と語る宮本社長。高級加賀野菜である「加賀丸いも(山の芋)」を原料に焼酎を作るチャレンジは、5代目の情熱なくしては成しえなかったのだろうと思います。
現在では石川県でも広く認知され、数々の賞を受けるまでになった丸いも焼酎「のみよし」。その仕込み現場は意外にも、たった2人ですべての作業をされていました。
愚直なまでの仕事人
酒蔵に入ると、芳しいお酒の香りと、蒸しあがるいもの甘い香りで充満していました。
お酒好きとしては、もうたまりません。ちょうど大量の丸いもが蒸しあがったところです。
熱々(本当に熱そう)の丸いもを大きなスコップでカゴに移し、粉砕機に入れて細かくしていきます。熱々のうちに砕かないと、丸いも特有の粘りでうまく砕けなくなってしまうそうで、本当に時間と体力との戦いです。
一度砕いた丸いもを、再度粉砕機にかけるといった作業を繰り返し、手間をかけて砕いた丸いもを、シートに広げて扇風機で今度は一気に冷まします。
次に、麹(こうじ)、水、酵母で作ったもろみに丸いもを加えていきます。この時の温度管理がとても重要とのことで、熱い丸いもと巨大タンクの温度が合わさった時に最適温度になるように、日々の異なるコンディションを見ながら微調整するのが味の命なのだそうです。
しっかりとアルコール発酵させます。もうすでにすごい雰囲気です。そして、蒸留。この作業のみが日本酒にはない工程ということで、専用の機械を見せてもらいました。
逆に、この作業以外は日本酒とほぼ同じ工程だということで、なるほど、冬と春に同じ酒蔵で日本酒と焼酎を仕込み分けることができるのですね、と納得です。
最後は貯蔵です。ひんやり冷えた超大型冷蔵庫で静かに寝かせます。もちろんお隣は日本酒たちが眠っています。
寝かしが終わったら、濾過してアルコール濃度と水を加えて調整し、さらにこなれるまで寝かすと、やっと完成です。
宮本社長曰く「冬の日本酒の仕込みは焼酎よりもさらに壮絶です。麹を作る時は1人で24時間、蔵に籠って戦います。体力と精神の限界を感じながらも、お酒の命である麹はやはり自分が作らねばなりません」と。
普段気軽に飲んでいる日本酒の裏側には、このような思いで酒造りをしている人たちがいるということを知ったことが最大の出会いでした。