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秩父・豚のみそ漬け


 

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秩父の保存食

山間部にあたる秩父では、まだ冷蔵庫がなかった時代、保存のための様々な工夫がされていました。その中のひとつとして、猟師が獣肉を保存するために始まったのが、肉味噌漬けだと言われています。秩父は味噌の生産地でもあったことから、味噌漬けは身近な保存方法として重宝されました。

当時は猪や鹿などの獣肉を漬けていましたが、時代の移り変わりとともに豚肉が漬けられるようになり、今では秩父と言えば「豚肉の味噌漬け」として知られています。冷蔵庫に入れておけば3週間ほどは保ち、さっと焼くだけでボリューム満点のおかずになる手軽さ、そしてもちろんそのおいしさから、保存技術が向上した今も、食べ続けられています。

 

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秘伝の味噌ダレ

創業当時、「肉の安田屋」は、1階は精肉店、2階はすき焼きなどをふるまう割烹食堂として営業していました。秩父セメントなどが隆盛を極めた時代、商店街には労働者をもてなす食堂や割烹料理屋がたくさんあったそうです。その後、労働者人口の減少とともに精肉店の仕事がメインとなっていき、味噌漬けが作られるようになりました。そのおいしさは口コミで広まり、今では、地元の方から遠方のリピーターまで、多くの人に愛されるお店の看板商品となっています。

「お店によっていちばん違いが出るのが、味噌の配合です」と健太さん。

先代から受け継がれている秘伝の味噌は、今もまったく変わらない配合を守り、精肉店の強みを活かして、国産の豚肉のみを使用しています。味噌の配合は企業秘密だそうですが、比較的甘味が強く、まろやかなしょっぱさが安田屋の味噌の特徴となっています。

 

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捨てるところなし!

安田屋の肉味噌漬けは、ガーゼの上から手作業で味噌をつけ、真空パックにして販売しています。肉に味噌がついたまま焼くと焦げやすくなってしまうのですが、ガーゼを間に挟むことで、その心配がありません。焼く時に味噌を取る手間を省くこともできます。残った味噌は、絞って炒め物に使ったり、自分で肉を買ってきて、もう1度漬けるなんてことも可能。「捨てるところがない」とお客さんからも好評だそうです。

また、豚肉だけでなく、猪肉と牛肉の味噌漬けが用意されているのも、秩父では安田屋だけ。猪肉は豚肉よりもコクがあり、歯ごたえがあります。牛肉は切り身が大きく、高級感があって柔らかいのが特徴です。定番の豚肉はもちろんですが、猪肉や牛肉もそれぞれ味わいがあるので、食べ比べしてみるのも楽しいでしょう。

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