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奥多摩のわさび漬

 

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江戸時代からの名産地

東京駅から電車で約2時間。山梨との県境に近い、JR青梅線の終点が奥多摩駅です。山や清流など自然溢れるこの場所には、登山やキャンプ、川遊びなどを楽しむ多くの人たちが訪れます。そんな奥多摩のお土産屋さんに行くと、必ず目にするのが「わさび漬け」。実は、奥多摩はかつて全国生産量第3位だったこともあるわさびの名産地なのです。

奥多摩のわさび産地としての歴史は、なんと江戸時代の昔にまでさかのぼります。渓流を利用して沢沿いにわさびが栽培され、将軍家にも献上されていました。山からの湧き水や沢水にはミネラルが豊富。さらに年間を通じて水温も一定のため、わさび栽培に最適なのです。当時はわさびをいかだに乗せて、川を使って神田の市場まで運んでいたのだとか。今も山奥には昔ながらのわさび田が数多くあります。

 

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鋭い辛味の奥多摩わさび

この地域で江戸時代末期よりわさび栽培を始め、大正時代からは商店としてわさび漬けを販売してきたという「山城屋」を訪ねました。「静岡など他県のわさびは丸っこくて甘みがあるけど、奥多摩わさびは険しい山奥で育つから、細長く辛味が鋭いんですよ」と教えてくれたのは、5代目となる代表取締役社長の金子敦さん。

山城屋は奥多摩駅から徒歩約7分。昭和橋を渡り氷川キャンプ場の入り口を越えたすぐ右手にあります。お店は駅から近いのですが、わさび田がある場所までは、車で1時間ほどの山奥をさらに歩いて登らなくてはいけません。

自然の沢を利用したわさび田では、種から大事に育てた苗を手植えしています。わさび田に水が均等に流れるように、小さな苗をひとつずつ角度や位置を考えながら植える必要があるため、機械ではできない作業なのです。

 

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植えた人の個性がでる

「角度など植える人のクセによって、育つわさびにも個性が出る」と金子さん。ベテランになると、わさびを見ただけで、誰が植えたものか当てることができるそう。「昔、奥多摩にわさび泥棒がきて田んぼのわさびをトラックに積んで売りに行ったら、『どうも○○さんのわさびに似ているな』と言われて、そのまま逃げていったというくらいだよ」と面白い話を教えてくれました。

しかし、昭和40年代までは盛んだった奥多摩わさびの栽培も、現在では農家の高齢化が進み、生産量は減少傾向にあります。「わさび栽培は大変な仕事だってみんな身にしみてわかっているから、なかなか若い人に後を継いでとは言いにくいと思いますよ」

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