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増岡園の狭山野紅茶


 

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有機栽培へのチャレンジ

実は増岡園は、埼玉県で唯一の有機JAS認定をもつ茶農家。増岡さんは30年以上も前から、有機無農薬栽培に取り組んできました。当時は高度経済成長のまっただなか。農家も作れば作るだけ儲かったという時代で、有機栽培に挑戦する増岡さんは、周囲から“変わり者”と思われていたと言います。

「農薬を使って大量に栽培して、いい車に乗ることがステイタスだった時代だから。有機栽培をやっている人なんていなかった。でも、そんなやり方に疑問を感じていたんだよね。若かったからついやってみようかって・・・・・・」と笑う増岡さん。

その道のりは平坦ではありませんでした。虫の発生などで収穫ができない辛い時季も経験し、有機栽培でも作っていけると実感できたのは、スタートから10年後のことだったといいます。

 

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昔ながらの手仕事に学ぶ

有機栽培への挑戦に加えて、増岡さんは昔ながらの「手もみ製茶」の技術保存にも取り組みました。明治時代以降、製茶は機械で行うのが一般的になっていましたが、かつてはすべてが手もみ。すたれつつあった技術を、地元のお年寄りたちから教えてもらったそうです。今でも年に数キロだけは、16代目となる息子さんといっしょに手もみで作っています。

「最近では、スイッチを入れればあとは機械が全部やってくれるけど、昔は5時間も立ちっぱなしで手でもみながら生葉を乾燥させていました。ずっと手で触れているから微妙な変化がわかる。そうやって温度を調整していたんですよ」と増岡さん。

増岡さんはこの昔ながらの技術を原点にして、途中で何度も機械を止めては味見をし、自分の感覚で調整しながらお茶を作ることを大事にしています。

 

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上品な甘みの国産紅茶

こうしてこだわりの狭山茶を作り続けてきた増岡園ですが、実は、今回紹介したいのは日本茶ではなく紅茶。紅茶も日本茶ももとの茶葉は同じ。発酵させるか、蒸すかという製法の違いで変わります。増岡園では、無農薬栽培や手もみに近い製茶技術といった経験を生かして、20年以上前から紅茶の生産も始めました。

堆肥の加え方、発酵の仕方など、販売に至るまでには4年近くもの試行錯誤があったそうです。品種は「さやまかおり」100%。緑茶にすると渋みがかなり強い品種ですが、紅茶にすると甘みと渋みが程よいバランスに仕上がります。

茶葉は暑い夏の時季に収穫し、12時間ほどかけて通風してほどよくしおれさせます。そのうちに発酵がすすむと、紅茶のいい香りが漂ってきます。だんだんと緑色から赤みを帯びた紅茶の色へと変化したら、高温で乾燥させて酵素の働きを止めて完成です。

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