今、経営視点で求める新作ゲームシナリオライターとは【取締役 × シナリオライター対談】
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取締役
坂本 佑
2009年、大手ゲームメーカーにエンジニアとして新卒入社し、プランナーに転向。アミューズメント系のゲーム開発に携わった後、スマホゲームの開発に従事。2013年、コロプラにプランナーとして中途入社。プロデューサーや部長、本部長を歴任し、2020年、取締役に就任。
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シナリオライター
おすぎ
コンシューマー系のゲーム会社で8年半ほどプランナー兼シナリオライター職に従事。その後フリーランスとして独立し、4年間ゲームシナリオを書き続ける。2017年、コロプラにシナリオライターとして中途入社。シナリオチームのマネージャーも務める。
シナリオライター大募集中! ということで、多様なバックグラウンドを持つシナリオライターたちに話を聞く座談会を実施したばかりのBe-arsですが、今回さらに踏み込んだスペシャル企画が実現しました!!
なんと、ポートフォリオ審査と一次面接官をしているシナリオチームのマネージャーと、長年プランナー職に従事し、現在は企画職の最終面接官をすべて担当している取締役に直接、今求めているシナリオライターのスキルや経験を問うインタビューを実施したのです。
先の座談会でコロプラの自由な社風は感じていただけたのではと思いますが、実際に面接官が重視しているポイントはどのようなものになるのでしょう。
これは滅多にない機会だと思い、Be-ars編集部も気になるところは全部質問したつもりです。長年ゲーム制作をしてきた二人が、本音で話したこととは?
プランナー的な役割も求められる
ゲームシナリオライターの仕事とは
今回は "シナリオライターが面接前に知りたいこと" を面接官に聞くという企画なのですが、一次面接がシナリオチームのマネージャーで、次はもう取締役による最終面接なんですね。
おすぎ はい。ただ、その前にポートフォリオの提出が必須なので、そちらも僕がガッツリ読ませていただいています。あと最初にお伝えしておくべきかなと思うのは、 "テキストだけ書いていればいいライター" を求めているわけではないということなんですよね。
坂本 面白いテキストを書く力も、必要なんですけどね。
おすぎ まさに、それもあった上で、"ゲームシナリオに向き合えること" がコロプラでは非常に重要と言いますか。
"ゲームシナリオに向き合えること" ですか。
おすぎ あ、「シナリオ」という言葉を使うと「セリフ」や「ト書き」といったテキストをイメージされるかもしれませんが、ここでは「ゲームを作る企画全般」という感じで捉えてもらえればと思います。
坂本 ゲームシナリオライターが作るものってその「世界観」や「世界設定全般」であって、「シナリオを書くこと」はそれらをテキストで紡ぐという業務の一つに過ぎないですからね。
おすぎ 「シナリオライター」という呼び方が良くないのかな......仮に「シナリオプランナー」とか、そんな職種名にしたら理解していただきやすくなったりしますかね。
坂本 かもしれないですね(笑)。あと今は、人を育成したり、一人ひとりのスキルを踏まえてアサインしたりといったことで組織に貢献してくれる方も求めていますので、管理職に興味があるシナリオライターの方にもお会いできるといいなと思っています。
なるほど。では改めて、"ゲームシナリオ(= ゲームを作る企画全般)に向き合う" ということについて、お話しいただけますか。
おすぎ とくに新作タイトルにおける話になりますが、プランナーなど他セクションの方と「このゲームで与えたいシナリオ面での体験とは」というところから話し合いをして、一緒にゲームを作っていくということですね。
坂本 物語が主役のゲームばかりでもないですからね。逆に言うと、ゲームの仕様そのものやデザインが主役のゲームも多々あるというか。ゆえにゲームシナリオライターには、「このゲームが与えたい体験は "これ" だから、それに適したシナリオの形はこうなのではないか」とコンセプトを理解した上で作っていく力が不可欠ですね。
おすぎ ゲームの世界観を知ってもらう手段って、テキストだけじゃないですからね。
坂本 一方で、その世界観や設定といったゲームの根底はテキストで考えるものなので、ゲームシナリオライターにはプランナー的な役割も求められると思います。
ゲームシナリオライターの
理想的な経歴とは
"面白いものを作る力" と "ゲームシナリオと向き合う力" を兼ね備えている方と一緒に働きたいということですが、どんな経歴の方が理想なのでしょうか。
坂本 それで言うと、僕がこだわるのは "どういうマインドでゲームシナリオに向き合えるか" であって、経歴にはこだわっていないんですよね。
ゲーム会社出身とか、制作会社出身とか、担当したプロジェクト数などで判断していないということでしょうか。
坂本 もちろん、ゲームを制作されてきた方はゲームの作り方をよくご存じなので、話が通じやすいとは思います。でもそれ以上に重要なのは、根っからのゲーム好きで、ゲームにおける物語を単なる物語として書くのではなく、そのゲームにおける最適なテキストとして書こうとするマインドなんですね。
おすぎ チームでゲームを作ったご経験もあってほしいですね。作家性が強いのは問題ありませんが、「俺はシナリオだけ書くよ」というような方だと合わなくて、自分以外にもたくさんのゲームクリエイターがいて、みんなでいろんなものを出し合ってその世界観を作り上げていくことに楽しさを感じられるような方が合うのではないかと思います。
では「これまで1つのプロジェクトにしか携わっていない」という場合などはどうでしょう。
おすぎ その関わり方が深ければ、とくに問題ないかと思います。さらに新規開発から携わったご経験もあれば理想的ですが、そんな方はなかなかいらっしゃらないですよね。
坂本 そのほうが活躍できる可能性は高いですけど、新規開発のご経験がなくても、できる人はいらっしゃいますしね。あと強いて言えば、アドベンチャーゲームだと "物語が主体" という傾向が強いので、そこはどう思いますか。
おすぎ ああ、たしかに......アドベンチャーゲームを作られてきた方は、ほかのジャンルのゲームも合わせてアピールしていただけるといいかと思います。
ポートフォリオでは何を見て、
面接では何を問うのか
そういったゲームのジャンルも含め、ポートフォリオにもいろいろな形態があるのではと思いますが、どんなふうに見ているのでしょうか。
おすぎ 僕がポートフォリオで見るのは基本的な文章力や物語の構成力、キャラがうまく書き分けられけているか、一読してすんなり入ってくるかといったところなのですが......念のため言うと、担当されてきたタイトル名だけで判断するようなことはありませんよ。
では、"通りやすくなるコツ" などあったら教えていただけますか。
おすぎ コツというわけでもないんですけど、お仕事で書かれたものの場合、他者による修正が入っていたり、いろんな規制がある中で書かれていたりするので、ご自分のオリジナル作品があれば、それも送っていただけるといいなと思っています。たとえば「仕事で恋愛モノを書きました。そのテキストです」だけだと、その方が持つ本来の力がこちらに正しく伝わらないかもしれないんですよね。
なるほど。続いて、一次面接の質問なども教えていただけますか。
おすぎ なかなか突っ込みますね(笑)。うーん......毎度ではありませんが、一次面接では「ゲームお好きですか。どれくらいプレイしていますか。どういうシナリオが好きですか」といったことを聞くことが多いですね。あとは書くスピードを知るために「1ヶ月で何KB書きますか」とか聞きますけど、実際、入社されてから「今日は◯◯KBは書いてください」みたいな話をすることはないんですよね。
坂本 コロプラにおいて文字量でシナリオライターの力を測ることはないですね。
では、最終面接ではどんな話をされるのでしょう。
坂本 僕は "カルチャーフィットするか" という視点でのみジャッジさせていただいています。一次面接を通った時点で基本的なスキルセットやゲームクリエイターとしてのマインドはフィットしているという前提で、あとはコロプラのフィロソフィーに共感されているかを問います。言ってしまうと、本気で "新しい体験" を作りたいと思っているかどうかを知りたいんですね。そして最上流のコンセプト立案からゲーム作りに参加していただきますので、主体的な方かどうかを問う質問をします。
おすぎ とくに新作の場合、まっさらな企画段階から「こういう体験を届けたい」「こんなシナリオはどうでしょう」というミーティングをひたすら重ねますからね。僕も今は慣れましたけど、入社当初は「こんな上流部分から入れるのか」と驚きました。
坂本 いろんなフェーズの新作があるので一概には言えませんが、実力さえあればどこからでも入っていただけるほどのプロジェクト数がありますしね。
おすぎ 新作に限らず、思ったことや感じたことを躊躇せずに言えるような企業文化があるので、シナリオライター冥利に尽きる環境だと思っています。
ゲーム制作の最上流から参加できる
シナリオライターの天国とは
ところで、先日のプランナー本部長対談で「クリエイターの天国を作りたい」というお話があったのですが、「シナリオライターの天国」とはどんなものだと思いますか。
おすぎ やはりゲーム会社に所属するのであれば、ゲーム制作の最上流から参加して、頭の中でしかイメージできないものがどんどん絵になり、たくさんのお客さまの手元に届くことなのではないかと思います。
坂本 同意ですね。物語が物語だけで完結しないというか、自分が書いたテキストによってゲームのアクションが変わり、アートが変わっていくので、たとえるならリアルタイムでアニメができていくみたいなものですよね。それってかなり楽しい仕事なんじゃないかなと思います。ただ一方で、単に物語を書きたいだけという方だと、天国にはならないだろうなとも思いますね。
おすぎ それはそうでしょうね。まあ、面白い物語を書きたいだけならゲーム会社じゃなくていいというか、もっとほかの媒体があると思いますね。
"面白い物語を書きたいだけならゲーム会社じゃなくていい" とは、先ほどの "ゲームシナリオに向き合うこと" のお話に通じますか。
坂本 通じますし、もっと根本的な話になるかと思います。おそらく物語を書く人って、自分で何かしらの物語を紡ぎたいわけですよね。でもゲームのテキストを書く場合って、そのゲーム体験を良くするための物語を書くことになるので、ゲームを好きじゃないと受け入れられない、成立しないんじゃないかと思うんです。だって物語を書きたいだけなら、自分一人で小説を書いているほうがいいじゃないですか。
おすぎ おっしゃる通りで、ゲームシナリオライターはゲーム好きであることが大前提なんじゃないかと思いますね。やっぱり僕もゲームが大好きで、いろんなゲームをプレイしながら、つい「ここ、こういう見せ方にしたらゲーム的にもシナリオ的にももっと良くなるのにな」とか考えてしまうタイプです(笑)。
坂本 わかります(笑)。結局、コロプラにはそういう人が集まっていますよね。あと、せっかくなので、シナリオチームのマネージャーとして実現していきたいことなどあったら話してもらえませんか。
おすぎ ......実現していきたいというか、常々思っていることでもいいですか。
坂本 それが聞きたいです。
おすぎ これ、コロプラの企業文化だから言えることだと思うんですけど、僕たちシナリオライターはお話だけでなくゲームを作れる環境にありますので、もっと積極的に、ゲームの企画書を作ってほしいなと思っています。肩ひじ張らず、ペライチでいいので「こういった物語のゲームを作ったらこういう遊びが生まれて、きっと面白いと思うからやりましょうよ!」みたいな感じで、みんなが言ってくれたらいいなあと。
坂本 そういうの、最高ですね。僕はプランナー側にも「物語やキャラクターもイメージした上での提案を」とよく言うんですけど、シナリオライターがゲームの遊びやアートの世界観も含めて物語を書いてくれるようになると、最強に近いんじゃないかと思っています。歴史に名前を残すようなゲームクリエイターって、そういう作り方をされていますしね。あらゆるところに精通してゲーム体験を作れるような人がいたら、より強く記憶に残るようなゲームを生み出せるはずです。
コロプラのシナリオライターに求められるのは、新しいゲームを作るマインドそのものなんですね。最後に、今後入社される方へメッセージをいただけますか。
坂本 ひとことで言えば、日本発の世界に通用するゲームをコロプラから創出したくて、それを一緒に作ってくれる人を欲しています。もちろんゲーム特有の制約といったものはあるんですけど、コロプラでは非常に幅広いジャンルのゲームを次から次へと作っていますので、いろんなシナリオを書けるチャンスがあると思います。今回の対談を読んで、共感いただけたという方にはぜひお会いしたいですね。
おすぎ 僕も入社して4年が経ちましたが、コロプラは一貫して面白いものを作ることに注力していて、たくさんの新作を同時進行で作っている会社です。本人次第で作りたいものが作れる環境がありますので、ゲームで表現したい体験があるという方にはぜひエントリーしていただきたいです。入社されたら、いくらでもチャンスがありますので、僕がそのお手伝いをしますよ!
新たな出会いが楽しみですね。今日はありがとうございました!
※ 本インタビューは撮影時のみマスクを外す等、感染症対策を十分にした上で行いました。