「技術革新と効率化でモバイルゲームNo.1を目指す!」コロプラが挑む技術デモの裏側! 「技術革新と効率化でモバイルゲームNo.1を目指す!」コロプラが挑む技術デモの裏側!
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「技術革新と効率化でモバイルゲームNo.1を目指す!」コロプラが挑む技術デモの裏側!

技術研究部 部長

秋友 覚

ゲーム会社を渡り歩いてコンシューマーゲームやモバイルアプリを開発したのち、2014年コロプラに入社。
『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』や『白猫テニス』などの開発・運用を経て、現在は全社横断的な技術サポートを行う組織の部長を務める。本プロジェクトでは、ディレクターを担当。

横断アート部 マネージャー

北村 康高

コンシューマーゲーム業界での開発経験を経て、2016年コロプラに入社。『ドラゴンプロジェクト』の運用や新規タイトルの開発に携わる。現在は、新作や技術検証を担当しつつアート部のマネージャーを務める。本プロジェクトでは、アートディレクターを担当。

開発効率化グループ マネージャー

桐山 明人

コンシューマーゲーム開発会社を経て、2019年コロプラに入社。社内のアプリビルド環境の構築・整備に携わり、現在は技術調査や社内ツール開発などを行うエンジニアチームのマネージャーを務める。本プロジェクトでは、プログラムディレクターを担当。

コロプラは、「最新のテクノロジーと、独創的なアイデアで"新しい体験"を届ける」をVisionに掲げ、日々技術力・表現力の向上を目指しています。先日行われた、Unity(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社)主催による大規模カンファレンス「SYNC 2022」ではその取り組みから生まれた「技術デモ」を発表。コロプラとしての新たな挑戦の裏側を、プロジェクトチームの皆さんにお聞きしてきました! 20221223_no10_01.jpg

まずは、このプロジェクトが始動したきっかけから教えてください。

秋友  もともとは「技術力・表現力を上げていく」という課題に、背景・VFX・キャラ班と個別に検証を進めていました。その中で、よりリアルな物理ベースの表現であるPBR(Physical Based Rendering)を目指すためには北村さんチームの「背景」、桐山さんチームの「VFX」も一緒に「個別ではなく全体的な絵作り」をしていった方がいいよねという話になって......それが2021年の12月くらいだったっけ?20221223_no10_02.jpg


北村  そうでしたね。普段の技術検証とは違って、すごく新鮮でした。プロジェクトには若手の子も入っていて、吸収力や成長も見れたりと発見があります。


桐山  前職のコンシューマー業界である程度経験はありますが、ファンタジー世界の表現を物理ベースで現実世界上に再現するためには、VFXだけで完結しません。背景やキャラも含めた総合的な表現を「デモ」として作っていくというのは、とてもスムーズな話だったと思いますね。

秋友  デモを、アプリ形式にしようと思ったのにも理由があって。動画として出そうとすると、後からいくらでも加工できるし、「こんな感じで見えればいい」という逃げ道とか保険になってしまう気がするんです。ちゃんとゲームに落とし込んで「遊べるデモ」にしようと決めました。


北村  そうですよね。あくまでも「ゲームとして使える技術」じゃないと、技術検証も兼ねて作る意味がないなと思います。


「遊べるデモ」を目指してスタートしたプロジェクトですが、企画段階で印象的だったエピソードはありますか?

秋友  たくさんあるんですけど......。


北村  レベルデザイン・ゲームデザインじゃない?


秋友  確かに!デモの制作が決まって企画会議にメンバーを集めたのですが、いつの間にかゴリゴリのアクションゲームになっていったんです。


北村桐山  (笑)


秋友  火・水・雷とか属性があって、最後にラスボスが出てきて......と、みんなすごく前向きに仕様をたくさん挙げてくれたのですが、ちょっとエンジン掛かりすぎてましたよね(笑)。


北村  当初の想定以上に話が広がってきて、落としどころ大丈夫かな......と、正直心配していました。 20221223_no10_03.jpg


桐山  モンスターひとつとっても、リアルな世界に馴染ませるには、ハイエンドな絵の密度に合わせた動きをするようなAIをつくらないといけない。このままいくと2年以上かかるなって(笑)。


秋友  2人とも心配してくれてましたよね。今回のデモではいくつか検証のポイントを決めていたので、「あくまで目的は技術検証」と舵を切りなおして、「女性のトレジャーハンターが宝探しをする」というゲームになりました。渦中にいた僕は「どうしよう......」と思っていたけど、後で振り返ると面白かったかも。


壮大なゲームが誕生しそうだったのですね!当時の企画書も見てみたいです。お話に出ていた「検証のポイント」はどんなところになりますか?

北村  元々うちのゲームでは、太陽の光や松明の光など「光源」は画面の中に数個しか置けませんでした。それが技術的に多くの光源を使えるようになったところじゃないですかね。


秋友  昨年の「CEDEC 2021」登壇時に発表したのですが、理論上は500個くらい置けるようになったので、ライトや光源をたくさん使った表現を取り入れていこうと。そこはぜひ注目してもらいたいです。


北村  光源数の制限が取り払われたので、あえて太陽光が届かない区画などもつくって光の表現を入れています。


秋友  煙などのエフェクトも光源の影響を受ける表現を入れていて、うちのゲームにはまだない部分だと思います。あとは、VFXでいうと「破壊」の表現にも注力していますよね。


桐山  そうですね。例えば「木箱に力を加えたらどんな感じに割れるのか」というシミュレーションから破片を作り、その破片が跳ね返って背景のコリジョン(衝突判定)へ......という一連の流れを作りました。

秋友  破片が飛び散ってキャラの足元に散らばると、画面もガタガタしてしまうので、そのあたりの調整も必要でしたよね。


桐山  単にリアルを追及すればいいという話ではなくて、プレイを阻害してしまったら元も子もないし、本末転倒ですからね。あくまでも「ゲームを面白くするためのグラフィック表現」と意識して作り込んでいかないといけない。新しいソフトや技術を取り入れながらも、実装したときに処理が重くならないようなノウハウも溜めていきたいと思っています。20221223_no10_04.jpg


秋友  ゲームとして訴求力を持たせるため、簡単なバックストーリーをもとに主人公もデザイナーさんに作ってもらいました。光をかざすと肌が乱反射するように見せたり、髪やマントなどの揺れものも検証のポイントにしています。


「光源」「破壊」「揺れもの」が主な検証ポイントだったんですね!進行中に、新たな発見はありましたか?

北村  PBRの環境でバウンス(二次反射)をベイクするのって、4~5時間もかかるんです。しかも、マシンスペックが足りないとベイク中は他の作業が一切出来ない......。これってやってみてはじめて分かったことなんです。


秋友  設定変えてみたり、メモリを増設したり、マシンをカスタムしたけど、それでも時間がかかりましたよね。作業用のマシンは使わず、クラウドや外のサーバーでの作業も検証しましたが、焼き込みが甘いと光が抜けてしまったり、本来影が落ちてほしいところに落ちていなかったり......。ベイクに関しては、二歩進んで三歩下がるって感じだったよね。 20221223_no10_06.jpg


北村  ほんとにね。でも、ここをやりきらないと上を目指せないなと思っていました。技術力を使って絵づくりした結果、「なんか絵が固くなったよね」ってなりがちなのですが、そんな風には絶対言われたくないので表現し切りたいという気持ちでした。結果的に、ProbeベースのGIを用いることで、長時間かかっていたベイクの問題は解消し、調整もしやすく見た目の担保もできるようになりました。


桐山  技術面以外では、ワークフローにも新しい課題が見つかりました。先ほども少し触れましたが、何かが爆発する→炎や煙が出る→爆発で壊れた木箱の破片が地面に飛び散って弾ける......という一連の動作に対して、いままではエフェクトを作って実装することのみで完結していました。これを物理的に表現すると、壊れた木箱の破片をシミュレーションして、その破片が地面に跳ね返って背景のコリジョンへ......という一連の「破壊」の流れが、ゲーム内で違和感がないか確認しながら実装するために、他の部門との連携が必須であることが分かりました。


北村  技術デモ制作をやったからこそ新しい発見もあったし、新たな課題も見えてきましたよね。


秋友  そうだね。新しい取り組みなのでスタートしたときは色々考えることも多くて頭を抱える時期もあったけど、いまはやってみてよかったなと思えます。


デモ制作によって発見できた様々なことは、今後のコロプラにとって大きな収穫とも言えますね。プロジェクトの中で「コロプラっぽさ」を感じたことはありますか?

秋友  意見がすごく闊達に出ますね。「ゲームを作りたい」「結果を見たい」という強い気持ちをもってディベートして作っていく文化がコロプラにはあると改めて感じました。それも感覚的ではなく「こういう機能が欲しい。なぜならば......」と具体的な理由があって、全員の落としどころが「ゲームを作る」に向いているから建設的な会話を通して進められます。


桐山  僕もそれは感じましたね。入社してすぐにコロナ禍になり、あまり他の方と顔を合わせて仕事をする機会がなかったのですが、積極的で熱量の高い人が多いなという印象です。特に、今回のような小規模で新しいことや、着地点が確約されていないプロジェクトだと各個人がどう考えて動くかが大切。そんな中で、言われたことをそのままやるのではなく、自律的に判断して行動する姿勢が見られましたよね。


北村  あとは、会社として「技術力を高めよう」と目指しているからこそ、新しく実用的な検証に積極的に取り組める環境があると思います。単純にデザイナーとして表現力を高いものを世に出したいですし。「こうしたい」と思ったときにエンジニアの力を借りられるのもとても助かっていますね。20221223_no10_05.jpg


秋友  方針として「何か新しいものを作ろうとしたときに技術を調べるのではなく、事前に様々な技術に触れておいて、常に引き出しを多く持っておく」という考えがあるからかもしれないです。常に先を見て技術検証をしてきたので、実際に今回のデモで取り入れている技術から新作タイトルに転用しているものもあります。技術検証のメンバーは開発出身者が多く、「なるべく共通して組み込めるように」と現場感をもって考えてくれているからこそですね。


北村  新作タイトルへの組み込みのときには、デモの開発に関わった若手も入る流れになっています。うちのメンバーも行ってますね。


秋友  他社だとベテランが入っていくパターンが多いから、珍しいかもしれないですね。北村さんも割と丸投げしてるよね?


北村  いい意味でね(笑)。桐山さんの話にもあったように、自律して進められるメンバーがいてくれるので、どんどんそういうメンバーも育てていきたいなと思っています。


これから生まれてくる新作にも、この技術デモの果たすべき役割は大きいですね。最後に、今後の目標を教えてください。

秋友  先日のカンファレンスでも発表しましたが、このデモを社内外に周知していくことが目標です。完成して終わりではなく、社内に認知してもらって、その技術を使ってもらわないと意味がないので。もちろん、社外にも「コロプラに入ったらこんなことができるんだ!」と思っていただきたいので、さらなる技術力の底上げを図りたいですね。


桐山  ポイントになっていたVFX周りの課題を一つ一つクリアしながら、いまは開発環境の整備にも取り組んでいます。定期的に実機で確認できるビルドを作ったり、制作過程で描画に不具合が入り込んだときにそれを自動的に検出したりと、アプリそのものではなく開発の下支えとなる環境整備も進めていきたいです。これはこのプロジェクトに限らず、既存タイトルにも貢献できる部分になると思います。


北村  背景周りでも、この制作を通してワークフローを溜めていきたいと思っています。検証ポイントでもあったライティングを使った表現など、新しいノウハウをどんどん蓄積していきたいですね。社内外から「グラフィック凄いね」と言ってもらえるレベルまで行くのが目標です。


今後も、"新しい体験"を届けるためのさらなる技術力の追求に注目していきたいです!今日はありがとうございました!

※ 本インタビューは撮影時のみマスクを外す等、感染症対策に配慮したうえで実施しました

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