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五島列島の海の幸

 

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ジェットフォイルで海を超え

長崎港からジェットフォイルに乗り、90分弱。良漁場として知られる五島灘を横断すると、五島列島で最大の島・福江島に到着です。

今回の目的地「山戸海産」は、到着した福江港からタクシーで30分弱、島の南東に位置する富江港にあります。

県道31号線と国道384号線の交差点から、東の港方面に少し歩くと、山戸海産が見えてきます。

一時間に一本程度、福江港からバスも出ており、西片町のバス停で降りると、上記の交差点に辿り着きますので、お店まであと一歩です。

日本の創生期からお話に登場する五島列島。その五島の海の幸を提供する、山戸海産の二代目・山戸喜八郎さん、三代目・幸治さん親子にお話をお伺いしました。

 

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国産みの島・五島列島

五島列島は、日本最古の歴史書「古事記」中の神話で、日本の国土創世「国産み」において、イザナギとイザナミにより作られた島として登場します。

旧石器時代から人が住み着いていたようで、以降の縄文時代や弥生時代の遺跡が見られ、平安時代には遣唐使が唐に向かう途上、最後に寄港する場所として、文化の交流地点として栄えていました。

また、このように海外との交流拠点であることもあり、戦国時代のキリスト教宣教師による布教後は、江戸時代のキリスト教禁教と迫害を耐え忍んだ「隠れキリシタン」の歴史があり、明治政府により信仰が認められると教会がたくさん建築され、五島の観光名所となっています。

山戸海産のある富江港の反対側、島の南西部には交通の要所として船の航路を照らすために作られた大瀬崎灯台があり、その雄大な景観は「日本の灯台50選」にも選ばれています。

手付かずの自然と昔ながらの文化が相まった五島列島福江島で、海の恵である海産物を商売とするのが今回お伺いした、山戸海産です。

 

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アオリは東で、スルメは西に

ミズイカとは九州でのアオリイカの呼び方で、日本海側に生息する、大型のイカです。

その身は、厚く柔らかく甘みが強く、国内で取れるイカの中でも有数の旨み成分を持つことと相まって、刺し身や天ぷらなどの調理法で食べられる非常に人気高いイカです。

五島は暖流の対馬海流が流れており、岩礁が多いことから良漁場として漁だけではなく一般の釣り客も多く、一般にアオリイカの旬と言われる春から夏にかけては釣りのターゲットとして人気を得ています。

五島でのアオリイカは、山戸海産の位置する富江港が長崎県全体でも漁獲高が多い港とのこと。

不思議なことに、島の東西で水揚げされるイカがことなり、富江港のある島の東部はアオリイカがとれ、西部ではスルメイカが水揚げされるそうです。

この富江でたくさん取れるアオリイカこそが、山戸海産の主力商品である、ミズイカのスルメなのです。

 

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本当の旬

山戸海産が創業したのは昭和12年(1937年)で、当時は仲買として鮮魚を扱い始め、徐々に海藻類を扱うようになりました。

ところが、戦争の影響で事業を中断せざる得なくなり、戦後事業を再開する頃には、ミズイカを扱うようになり、徐々に加工業へシフトし、スルメづくりを始め現在に至っています。

ミズイカの旬は一般には春〜夏と言われていますが、「ミズイカの本当の旬は冬なんだよ。」と、喜八郎さんはおっしゃいます。

ミズイカは夏頃に孵化し、一年後に産卵し生涯を終える寿命が一年のイカです。

産卵前の春頃はサイズが一番大きな時期のために、もてはやされますが産卵に向けて、卵巣や精巣を作り始め体が変化し始め、身が薄くなる、硬くなる、甘みと旨みが薄くなるなど、本来の味から劣ってくるのだとか。

「一番うまい時期は、成長し切る直前の秋から冬だよ。旨みと甘みが濃いんだ。」と教えていただきました。

山戸海産ではこの秋〜冬のミズイカだけにターゲットを絞って、加工をしています。

「1月下旬に入ったら毎日イカの状況を見ながらだね。ダメだと思ったらその日以降は絶対に加工しないんだ。」と幸治さん。

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