コロカ事業

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パレットのずんだスイーツ


 

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農業との不思議な縁

高橋さんは大学を卒業後、数年間は家業の農家に従事します。しかし、冬にアルバイトとしてやったケーキ・パン作りの魅力にとりつかれてしまいます。

「少し手伝うつもりで始めたケーキ作りでしたが、工夫や研究のしがいがあり、周りの人たちも私の腕を認めてくれました」と、高橋さん。そのときの喜びを忘れられず、独立を決心。1986年にパレットをオープンしました。「後年、『ずんだ』を素材にしたことで、奇しくもまた農業と深く関わることになりました」と、高橋さんは笑います。

パレットは開業当初から順調で、1990年頃には近くで旧石器時代の遺跡が見つかったのにあやかった「原人パン」が人気を博します。「原人パンは遺跡ブームが去った今でも、当店の定番です」とのことです。

 

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ずんだペースト誕生の裏側

そんなパレットは、2008年に「ずんだ」を真空・低温で加工する技術を完成させます。

当時、高橋さんは新商品の題材を探していました。高橋さんが、新しい食材に課した条件はふたつ。「ひとつは当店だけでなく、地域全体を活性化させるものであること。もうひとつは、歴史や風土に裏付けされているもの」です。

そんな時、知人から新型の機械を見せられた髙橋さんは、それがペーストを作るものだと聞いて、まずアイスクリームを作って販売しようと考えます。しかし、「地域の活性化」という条件を思い出したときこの考えを取りのぞき、郷土料理「ずんだ」を使うことを思いついたそうです。この着想と宮城県産業技術総合センターの支援を得たことなどにより、日数を経ても色や風味が劣化しない「ずんだペースト」が誕生します。

 

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鮮やかな黄緑色をそのまま

「ずんだペースト」に用いる枝豆は、いずれも地元で育ったもの。収穫した日のうちに茹で、真空・低温という特殊な技術で加工します。その結果、保存料や着色料とは無縁の、日持ちのする製品ができるといいます。

ペーストの色は、ずんだが本来持っている鮮やかな黄緑色ですが、「特に関西のお客さんは『こんな色をしたものが食べられるの?』と驚かれます」と高橋さん。「しかし、そう言いながらも買っていったお客さんは、結果的にリピーターになることが多いですね」、とのことです。

ずんだペーストは同店のジャムやシフォンケーキ、雪んこくるみ(白玉をずんだ餡とからめたもの)、モンブランなどに用いられ、わずか数年のうちに同店の看板商品となりました。

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